総国(読み)ふさのくに

精選版 日本国語大辞典 「総国」の意味・読み・例文・類語

ふさ‐の‐くに【総国】

上総(かずさ)下総(しもうさ)安房(あわ)の三か国を含む古代国名大化改新二つに分かれ、北部下総国南部上総国となった。さらに養老二年(七一八)、上総国から安房国が分かれた。総。

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デジタル大辞泉 「総国」の意味・読み・例文・類語

ふさ‐の‐くに【総国】

上総かずさ下総しもうさ安房あわを含む古代の国名。大化の改新後、上総・下総の両国に分かれ、さらに、上総から安房を分離

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「総国」の意味・わかりやすい解説

総国
ふさのくに

現在の千葉県を主たる地域とし、茨城県・東京都の一部にわたる律令(りつりょう)制以前の旧国名。『古語拾遺(こごしゅうい)』によると、天富命(あまとみのみこと)が阿波(あわ)(徳島県)地方の斎部(いんべ)をこの地に派遣し麻(あさ)・穀木(かじのき)(クワ科高木)を植えさせたところよく育ったので総国(ふさのくに)と名づけたという。総とは麻の意味と伝える。7世紀後半から末にかけて上総(かみつふさ)・下総(しもつふさ)の二国に分割された。さらに、718年(養老2)に上総(かずさ)国の平群(へぐり)、安房(あわ)、朝夷(あさひな)、長狭(ながさ)の四郡を割いて安房(あわ)国を分置した。房総地方に相当する地域である。

[佐々木虔一]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「総国」の解説

総国
ふさのくに

「古語拾遺(こごしゅうい)」によれば,房総3国は,良質の麻がとれたことにちなんでもと総国とよんだというが,信憑性の高い史料にはみられない。しかし毛野(けの)国が分割されて上(かみつ)毛野・下(しもつ)毛野国が成立したのと同じように,令制国の成立にともない,総国が上総(かずさ)国(安房国の領域を含む)・下総(しもうさ)国に分割された可能性は高い。

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