緩緩(読み)ゆるゆる

精選版 日本国語大辞典 「緩緩」の意味・読み・例文・類語

ゆる‐ゆる【緩緩】

[1] 〘副〙 (多く「と」を伴って用いる)
動作気持ゆとりがあるさま、のんびりとくつろいださま、ゆったりとしたさまを表わす語。ゆっくり。
源氏(1001‐14頃)行幸「桜の下かさね、いと長うはしりひきて、ゆるゆるとことさらびたる御もてなしあなきらきらしとみえ給へるに」
仮名草子東海道名所記(1659‐61頃)六「座敷にてゆるゆると、寝ながらのまばや」
② 動作が遅いさま、急がないさまを表わす語。ゆっくり。そろそろ。
※枕(10C終)三二「網代ははしらせたる。〈略〉ゆるゆると久しくゆくはいとわろし」
※玉塵抄(1563)三一「かねも一しきり三十六つくぞ。その中で十八しづかにゆるゆるとつくぞ。十八はちゃくちゃくとはやうつくぞ」
③ しだいに伸びひろがるさまを表わす語。
和泉式部集(11C中)上「庭のままゆるゆる生ふる夏草を分けて斗にこむ人も哉」
④ 髪の毛などが、ふさやかに豊かであるさまを表わす語。たっぷり。ゆったり。
※夜の寝覚(1045‐68頃)一「かしらつき、やうだい、ほそやかにしなじなしく、きよらなるに、髪のいとつややかにゆるゆるとかかりて」
⑤ やわらかいさまを表わす語。
※米沢本沙石集(1283)九「加持せられければ、かの堅かりける物のゆるゆるとなりて、あとかたなくとけうせにけり」
[2] 〘形動〙
① 穏やかなさま。平穏なさま。
史記抄(1477)一一世間のゆるゆるな時は、文人がよい、事の急な時は武士がよいぞ」
② ゆるんださま。締まりのないさま。
吉里吉里人(1981)〈井上ひさし一二「黄色い六尺褌をゆるゆるに締め、〈略〉白衣を羽織っていた」

かん‐かん クヮンクヮン【緩緩】

〘形動ナリ・タリ〙 ゆっくりとしたさま。いそがないさま。のどかなさま。ゆるゆる。そろそろ。款款
※和漢朗詠(1018頃)下「老鶴心閑かにして緩々(くゎんくゎん)として眠る〈都良香〉」 〔蘇軾‐陌上花詞引〕

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デジタル大辞泉 「緩緩」の意味・読み・例文・類語

ゆる‐ゆる【緩緩】

[副]
動作や気分がゆったりしているさま。のびのび。「別荘緩緩(と)くつろぐ」
急がないさま。ゆっくり。「葬列緩緩(と)進む」
柔らかいさま。
「堅かりける物、―となりて」〈沙石集・七〉
[形動][文][ナリ]
ゆるやかなさま。きっちりしていないさま。「緩緩な服」「緩緩規則
おだやかなさま。平穏。
「世間の―な時は、文人がよい」〈史記抄・申韓伝〉
アクセントルユル、はユルユル
[類語]2そろそろゆっくり遅遅遅いのろいのろくさいまだるいまだるっこいとろい緩慢緩徐遅緩スロースローモーのろのろまぬるいまのろい鈍いもたもたぼやぼやだらだらのろま鈍重ちんたらのさのさのそのそとぼとぼのこのこぐずぐずのそりのっそりのっしのっしのしのしどんとろとろぼちぼちぼつぼつぽつぽつ徐徐徐徐にじわじわじわりじわりじりじりのたりのたりのたりそろりのんびりのらくらゆったり悠然悠悠1がばがばぶかぶかだぼだぼだぶつくゆるいゆったりゆるやかだぶだぶ

かん‐かん〔クワンクワン〕【緩緩】

[ト・タル][文][形動タリ]ゆるやかなさま。急がないさま。ゆったり。
「遅々として往き、―として歩し」〈鉄腸雪中梅

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「緩緩」の読み・字形・画数・意味

【緩緩】かんかん

ゆるやか。

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