縞枯山(読み)しまがれやま

改訂新版 世界大百科事典 「縞枯山」の意味・わかりやすい解説

縞枯山 (しまがれやま)

紀伊半島から奥日光の間の表日本側の亜高山帯シラベ林にみられる特有の縞状の立枯れ現象のおこっている山。その主要な地域は八ヶ岳山系と奥秩父山系の西部であって,八ヶ岳北部には縞枯山という固有名の山もある。縞枯れ現象は平たんな稜線とこれに続く南面の緩斜な山腹上部にみられ,斜面中腹以下ではみられない。斜面上部ではシラベの根も浅く生育不良のうえ,密生しているので風に対して弱い。台風が吹き抜けるときに線状になぎ倒される。風倒面ができると,その上縁の林木は乾燥などによって枯れ進み,一方,もとは真っ暗な林内にあったシラベの稚樹はいっせいに生長を開始し林になっていく。立枯れの上方への進行と同時に,若い林も進んでいく。もとの位置が老齢になると台風で次の風倒面ができ次の縞ができて,数列の縞枯れがみられるようになる。
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デジタル大辞泉プラス 「縞枯山」の解説

縞枯山

長野県中部にある山。標高2403メートル。山頂付近まで北八ヶ岳ロープウェイが通じる。名称は、樹林が立ち枯れ数段の白い縞模様になる「縞枯れ現象」が見られることから。田中澄江の「花の百名山」に選定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の縞枯山の言及

【八ヶ岳】より

…狭義には主峰赤岳(2899m)を中心として南北に連なる西岳,編笠(あみがさ)山,権現岳,阿弥陀(あみだ)岳,横岳,硫黄岳,峰ノ松目などの山列を指す。近年はこれらを南八ヶ岳としてまとめ,夏沢峠以北の根石岳,天狗岳,中山,縞枯(しまがれ)山,横岳などを北八ヶ岳として,両者を合わせて南北20km以上にわたって連なる標高2200~2900mの山列を八ヶ岳と呼ぶのが一般的となった。南北いずれもフォッサマグナの地域に,第三紀層を基盤として生じた火山群である。…

※「縞枯山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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