繋縛(読み)けばく

精選版 日本国語大辞典 「繋縛」の意味・読み・例文・類語

け‐ばく【繋縛】

〘名〙
仏語。迷いの世界につなぎとめて、これから逃れさせないこと。煩悩(ぼんのう)によってしばられること。
※愚迷発心集(1213頃)「恩愛心肝を悩す者は皆是生死囚獄の繋縛たり」
※米沢本沙石集(1283)八「有戒・無戒持戒破戒の聖、頭をそり、袈裟片端をもきたらむ僧をば、繋縛(ケバク)し鞭打し禁閉すべからず」

けい‐ばく【繋縛】

〘名〙
① つなぎしばること。また、つなぎしばるためのもの。ほだし。けばく。
※東文書‐一・嘉禎四年(1238)一〇月一九日・六波羅裁許下知状「召留京都繋縛禁固之条、以外之企也」
② 精神的に束縛すること。自由をうばうこと。また、運命罪業などによる苦痛。けばく。
三国伝記(1407‐46頃か)一「飛行夜叉は不動明王也。智恵の利劒を振り生死魔軍を摧破し、大悲の金索を把て煩悩怨敵を繋縛す」 〔雲笈七籤

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デジタル大辞泉 「繋縛」の意味・読み・例文・類語

けい‐ばく【×繋縛】

[名](スル)
つなぎしばること。また、そのもの。ほだし。「繋縛を解く」
精神的に束縛すること。「規則繋縛される」
[類語]緊縛

け‐ばく【×繋縛】

仏語。心が煩悩ぼんのう外界事物にしばられて、迷いの状態にあること。
けいばく(繋縛)」に同じ。
言葉に花を咲かせんと思ふ心に―せられて、句長くながになるなり」〈申楽談儀

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「繋縛」の意味・わかりやすい解説

繋縛
けばく
bandhana

仏教用語。心が煩悩や妄想あるいは外界の事物のために束縛されて自由を失った状態をいう。解脱対語

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