羇旅漫録(読み)きりよまんろく

日本歴史地名大系 「羇旅漫録」の解説

羇旅漫録
きりよまんろく

三巻 曲亭(滝沢)馬琴

成立 享和二年

分類 随筆

写本 内閣文庫

版本 東北大学図書館

解説 寛政一二年(一八〇〇)九月に伊豆旅行を経験した馬琴は、翌々年の享和二年(一八〇二)五月に江戸を発ち、京・大坂方面を遊歴した。八月に帰着し著したのがこの書である。紀行文ともいえるが、作家の目を通した資料は、古人の略伝・墓誌・方言年中行事、更には古人の墨跡など多方面にわたり、格好の随筆ともなっている。京師では七月の二〇日余りを滞在し、島原の噂、祇園の方言、四条の芝居、京の盆祭など四七項目を掲げている。

活字本 日本随筆大成一期

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「羇旅漫録」の意味・わかりやすい解説

羇旅漫録 (きりょまんろく)

随筆。曲亭馬琴著。1803年(享和3)刊。馬琴36歳のとき,彼の生涯ただ一度の京坂旅行の記録。往復道中および京坂摂地方で見聞した奇事奇談風俗流行古跡人物などを,ときには図を挿入して,全157条にわたって克明に記している。それらは資料として貴重だが,馬琴にとっても,自国の文化・歴史・民俗についての識見を大きく拡大する機となり,後の著作活動に少なからぬ影響を及ぼした。
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