職権調停(読み)しょっけんちょうてい

百科事典マイペディア 「職権調停」の意味・わかりやすい解説

職権調停【しょっけんちょうてい】

職権に基づいて事件調停に付すること。1.一般の民事訴訟事件については,民事調停法により受訴裁判所が適当と認めたときは職権で調停に付することができる。2.家庭に関する事件では,家事審判法の定める家事審判事項のうち乙類に属するものについて,家庭裁判所はいつでも職権で調停(家事調停)に付することができ,訴訟が係属している場合は,受訴裁判所はいつでも職権で家庭裁判所の調停に付することができる。3.労働争議の調停として,労働関係調整法により公益事業に関する事件について労働委員会が職権で調停する場合をいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職権調停」の意味・わかりやすい解説

職権調停
しょっけんちょうてい

(1) 民事事件の受訴裁判所が,当事者の申立てによらず職権で開始する調停手続。ただし訴訟の促進を考慮し,事件について争点および証拠整理が完了したのちは,当事者の合意がなければならない (民事調停法 20) 。 (2) 家庭に関する事件には調停前置主義がとられているため,調停の申立てをしないで訴えを提起した場合には,裁判所が職権で家事調停に付することを原則とするし,訴訟が係属している場合には,いつでも家事調停に付することができる (家事審判法 18,19条) 。家事調停のできる審判事件についても,いつでも職権で調停に付することができる (11条) 。 (3) 労働法上,労働委員会が公益事業に関する事件について職権で調停を行う必要があると決議したときに行われる調停も職権調停という (労働関係調整法 18条4号) 。

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