肺炎球菌(読み)ハイエンキュウキン

デジタル大辞泉 「肺炎球菌」の意味・読み・例文・類語

はいえん‐きゅうきん〔‐キウキン〕【肺炎球菌】

肺炎などの感染症原因となるグラム陽性菌。人の鼻や喉に常在し、免疫機能が低下すると発症する。肺炎のほか中耳炎副鼻腔炎気管支炎髄膜炎敗血症などの原因にもなる。乳幼児の場合、菌血症を起こすことがある。肺炎レンサ(連鎖)球菌肺炎双球菌

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肺炎球菌」の意味・わかりやすい解説

肺炎球菌
はいえんきゅうきん

ストレプトコッカス属に属するグラム陽性通性嫌気性球菌である連鎖球菌レンサ球菌)の一種で、肺炎レンサ球菌あるいは肺炎双球菌ともよばれる。鼻や咽頭(いんとう)および喉頭(こうとう)などヒトの上気道に常在菌として存在するが、なんらかの理由で身体の免疫機能が低下した際に体内に進展し、種々の疾患を引き起こす原因菌となる。肺炎球菌の進展によって起こる代表的な疾患は、名前の通り肺炎であり、とくに免疫機能の未熟な小児や、免疫機能が年齢とともにしだいに低下する高齢者に生じる肺炎の原因菌として知られている。そのほかにも、中耳炎や気管支炎、ときに敗血症や髄膜炎などの原因菌ともなる。

 近年では肺炎が日本人の死因の第3位に位置するまでに増加しており、そのうち95%は65歳以上の高齢者であるとされる。厚生労働省では、肺炎予防のために肺炎球菌ワクチンの高齢者への定期接種を制度化し、2014年(平成26)10月から実施している(定期予防接種の実施主体は市町村)。

[編集部 2017年8月21日]

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百科事典マイペディア 「肺炎球菌」の意味・わかりやすい解説

肺炎球菌【はいえんきゅうきん】

肺炎双球菌,肺炎レンサ球菌とも。肺炎病原菌の一種。0.5〜1.25μmのグラム陽性球菌で,通常2個ずつ対をなし,莢(きょう)膜を有する。莢膜中の多糖類沈降反応により83の血清型に分類される。病原性が強いのは1,3,4,7,8,12型である。→グラム陽性菌
→関連項目カナマイシン敗血症扁桃炎涙嚢炎

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世界大百科事典(旧版)内の肺炎球菌の言及

【肺炎双球菌】より

…肺炎球菌ともいう。グラム陽性,ランセット形の球菌(大きさは0.5~1.0μm)で,ふつう底面で2個ずつ相接して双球菌の形をとる。…

※「肺炎球菌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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