胆管炎(読み)タンカンエン(英語表記)cholangitis

デジタル大辞泉 「胆管炎」の意味・読み・例文・類語

たんかん‐えん〔タンクワン‐〕【胆管炎】

胆管に起こる炎症急性であることが多い。発熱黄疸、右上腹部の痛みを伴う。大部分大腸菌などの細菌が感染して起こる。重症になると敗血症を生じ、命にかかわることがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「胆管炎」の意味・わかりやすい解説

胆管炎
たんかんえん
cholangitis

胆道感染症には胆嚢(たんのう)炎と胆管炎があり、ほとんどの場合、胆石腫瘍(しゅよう)による胆道系の通過障害と胆汁のうっ滞が背景となって発症する。腸管から胆道系を逆行する大腸菌の上行性感染の頻度がもっとも高い。ここでは、胆管炎について述べる。

 胆管炎は急性化膿性胆管炎ともよばれ、発熱、腹痛、黄疸(おうだん)は必発の症状であり、この三つはシャルコーCharcot三徴とよばれる。症状が進行して胆管が閉塞すると胆道内圧が上昇し、急性閉塞性化膿性胆管炎発症の引き金となる。原因胆管結石がもっとも多い。シャルコー三徴にエンドトキシンショックと意識障害を加えてレイノルズReynolds五徴とよび、急性閉塞性化膿性胆管炎の症状である。

 超音波検査、磁気共鳴胆管膵管検査を行い、前述の臨床症状に加えて、胆管内結石とその末梢胆管の拡張を認めれば診断は確実である。

 急性閉塞性化膿性胆管炎に至ると敗血症を起こし、エンドトキシンショックや播種(はしゅ)性血管内凝固症候群をきたし予後は著しく不良となる。治療は抗生物質を投与するとともに速やかに胆道ドレナージを行い胆道減圧を図ることがきわめて重要である。

[中山和道]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「胆管炎」の意味・わかりやすい解説

胆管炎【たんかんえん】

胆管に起こる炎症で,しばしば胆嚢(たんのう)炎を合併する。原因,症状,治療法は胆嚢炎と同じだが,しばしば胆嚢炎よりも症状は激しく,持続しやすい。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胆管炎」の意味・わかりやすい解説

胆管炎
たんかんえん
cholangitis

肝内の胆管および肝外の肝管胆嚢管総胆管に起る炎症。しばしば胆嚢炎を合併する。化膿性胆管炎は多くは結石と関係がある。悪寒戦慄を伴い,高熱を発し,疝痛と黄疸を伴うことが多い。早期に総胆管を切開あるいは穿刺して排膿をはかる必要がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

栄養・生化学辞典 「胆管炎」の解説

胆管炎

 胆管の炎症.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の胆管炎の言及

【胆管】より

…膵炎もおこりやすい。 胆管の病気の代表的なものは胆管結石であり,次いで胆管癌,胆管炎などが問題となる。胆管で初めからつくられる胆石はビリルビンカルシウム石であり,コレステロール石が存在する場合は,胆囊でつくられたものが胆囊管を通って排出されて生じたものである。…

※「胆管炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android