能動的理性(読み)のうどうてきりせい(英語表記)nous poiētikos; intellectus agens; active intellect

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能動的理性」の意味・わかりやすい解説

能動的理性
のうどうてきりせい
nous poiētikos; intellectus agens; active intellect

能動的知性ともいう。アリストテレス概念。質料的,可能的な受動的理性 nous pathētikosに対し,認識の動力因であり現実的な理性。光が色を現実的なものとするように,能動的理性が受動的理性に働きかけて認識が初めて成立する。その後の理論的展開において,これを超越的な神的理性とみて,人間理性を神からの働きかけをまって初めて力を発揮する単なる受動的理性とする立場が生れた (たとえばアフロディシアスアレクサンドロス) 。新プラトン派流出説と結びついたイブン・ルシュドでは,個々の存在に形相を与える存在原理でもあり,また受動的理性も万象において一つであり,能動的理性の働きを受けて個々の現実理性が生じるとされた。トマス知覚の場面で感覚像を思想内容に高める働きを能動的理性に与えた。しかし,理性におけるこの能動受動の区別は,近世以後は用いられなくなった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android