能装束(読み)ノウショウゾク

デジタル大辞泉 「能装束」の意味・読み・例文・類語

のう‐しょうぞく〔‐シヤウゾク〕【能装束】

を演じるときに演者が身につける装束。能面を除いたすべてのもので、かぶり物かずらから足袋まで含まれる。特に、唐織からおり厚板あついた摺箔すりはく縫箔ぬいはくなど染織技法の粋を尽くした豪華で気品の高いものが多い。能衣装

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精選版 日本国語大辞典 「能装束」の意味・読み・例文・類語

のう‐しょうぞく ‥シャウゾク【能装束】

〘名〙 能を演じる時に着ける装束。能衣装。
※彼岸過迄(1912)〈夏目漱石停留所「袋は能装束(ノウシャウゾク)切れ端か、懸物の表具の余りで拵らえたらしく」

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改訂新版 世界大百科事典 「能装束」の意味・わかりやすい解説

能装束 (のうしょうぞく)

能楽の舞台衣装。広義には面(おもて)(能面,狂言面)を除く扮装用具のすべてを指し,狭義には衣服および鬘帯(かつらおび),腰帯などの付属の布製品を指す。染織工芸,デザインなどの分野では〈能衣装〉の用語が使われていて,能楽用語としても中世末から近世初期の伝書類には〈衣装〉の語が頻用されているので,元来この語を用いることは不当ではないはずだが,現在は必ず〈装束〉と呼称する。

創成期の能装束がどのようなものであったかは,遺品も伝わらず記録も乏しいので不明だが,今日わずかに残されている室町末期から桃山時代にかけての装束を見ると,基本的な形や種類は現在使用されている能装束と大差はない。創成期の能装束は舞台衣装としての完成度は低く,日常実用の衣装とあまり相違はなかったようである。中世の服装は,それ以前の公家風な襲(かさね)装束から小袖を主とした軽装に変わってくる時代であり,上流階級の女性の間にも小袖が用いられていた。武士階級の男子の服装は,直垂(ひたたれ)を主とし,素襖(すおう),肩衣(かたぎぬ),袴が使用され,また公家の略装であった狩衣(かりぎぬ)も武家が常用するようになっていた。このような当時の武家を中心とした服飾が,そのまま能装束にとり入れられたとみられる。

 能の先行芸能である散楽(さんがく),呪師猿楽(しゆしさるがく),田楽(でんがく)の装束が華美を競い,金銀で加飾された豪奢(ごうしや)なものであった事例が,平安末期から鎌倉初期にかけての記録に見えるが,観阿弥・世阿弥時代の能がその影響を受けた形跡はない。今日,能の演目中もっとも儀式性が高く,蜀江文錦(しよつこうもんにしき)に代表される《翁》の装束でさえ《申楽談儀(さるがくだんぎ)》には〈翁の装束,真実の晴の形(なり)は,定て別に口伝有べし。さのみてばてばしくはなかりし也。しとやかに出で立べし。金襴などは,さして見及ばず。色は正色なるべし〉とあり,必ずしも立派なものではなかったことがわかる。しかし,1433年(永享5)世阿弥にかわって音阿弥(おんあみ)が観世大夫となったころから,後援者の下賜する金襴の狩衣や緞子(どんす)が装束に用いられるようになり,しだいに上質美麗なものになっていった。この傾向は応仁の乱(1467-77)以後も変わらず,中国から輸入された優秀な裂地(きれじ)が用いられたほか,中国の技法に倣った唐織(からおり)その他が日本でも製織されるようになり,それらの織物も利用された。

 江戸時代に入り,能が武家の式楽となると,諸大名はお抱えの役者のために競って絢爛豪華な能装束をととのえるようになり,この時期に芸能衣装としての様式や各種の扮装類型も完成された。西陣織の工芸技術発達も能装束の拡充整備に拍車をかけた。徳川家をはじめ,井伊家,池田家,細川家,前田家などの大名家に守り伝えられた能装束は,今日もなお一部が保存されている。

広義の能装束は,用途上から分類すると,仮髪(かはつ),かぶり物,上衣(うわぎ)の類,着付(きつけ)の類,上衣・着付両用の類,袴の類,その他に分けられる。なお〈着付〉という言葉は,装束を着ることそのものを指す場合もあるが,能においては着装のことを物着せと称するのが普通であり,本稿で〈着付〉と記すのはすべて装束の種類としての〈着付の類〉で,小袖類の唐織,厚板(あついた),摺箔(すりはく),縫箔(ぬいはく)(繡箔(ぬいはく))などを意味する。以下,各項ごとに使用頻度の高く基本的なものの名称をあげる。

 (1)仮髪 ,姥鬘(うばかずら),喝食鬘(かつしきかずら),尉髪(じようがみ),頭(かしら)(黒頭(くろがしら),赤頭(あかがしら),白頭(しろがしら)),(たれ)(黒垂(くろたれ),白垂(しろたれ))。(2)かぶり物 翁烏帽子(おきなえぼし),風折烏帽子,大臣烏帽子侍烏帽子,洞烏帽子,前折烏帽子,静折烏帽子,梨子打烏帽子,初冠(ういかんむり),透冠(すいかんむり),唐冠(とうかんむり),天冠(てんがん),輪冠(わかんむり),竜戴(りゆうたい),鳥兜(とりかぶと),長範頭巾(ちようはんずきん),袈裟頭巾(けさずきん),角帽子(すんぼうし),沙門帽子(しやもんぼうし),唐帽子(とうぼうし),帽子,兜巾(ときん),大兜巾。(3)上衣の類 直衣(のうし),狩衣,法被(はつぴ),側次(そばつぎ),長絹(ちようけん),舞衣(まいぎぬ),水衣(みずごろも),直垂,素襖。(4)着付の類 摺箔,縫箔,熨斗目(のしめ),白練(しろねり),白綾(しろあや)。(5)上衣・着付両用の類 唐織,厚板,厚板唐織。(6)袴の類 大口(おおくち),半切(はんぎり)/(はんぎれ),指貫(さしぬき),長袴(ながばかま),児袴(ちごばかま)。(7)その他 襟(各種),鬘帯(各種),鉢巻(各種),腰帯,掛絡(から),篠懸(すずかけ),木綿襷(ゆうだすき),腰簑(こしみの),小刀(ちいさがたな),太刀。

 以上のとおりだが,(3)~(5)の装束を形態上から分類すると,広袖物(袖口が広く,縫いふさいでいない大袖形態のもの)と詰袖物(小袖物。袖を縫い詰めた小袖形態のもの)とに大別され,(3)は広袖物,(4)と(5)は詰袖物である。また上記の各装束のうち,有職(ゆうそく)のまま流用したものは直衣,狩衣,素襖,指貫,長袴など,有職から変化したものは長絹,大口,腰帯など,能装束独特のものは舞衣,水衣,摺箔,唐織などである。能装束の特色を概括的にいえば,第1に直線裁断法による様式性の高さ,第2に使用材質に張りのある重厚なものが多いこと,第3にきまり文様や色目など意匠の多様さであり,要するに豪奢華麗な芸術性が能そのものの演技演出と有機的にかかわっていることである。

能では類似した役柄に共通する,一定の装束の組合せによる扮装類型が決まっている。たとえば脇能の前ジテとして登場する老人の役ならば,《高砂》《難波(なにわ)》《老松(おいまつ)》《養老》《嵐山(あらしやま)》《弓八幡(ゆみやわた)》《絵馬》などに共通して,仮髪は尉髪,面は小尉(こじよう),着付は小格子厚板,袴は白大口,上衣は水衣という扮装類型になる。また,たとえば王妃の役なら,天竺の旋陀夫人(《一角仙人》のツレ)も,唐の楊貴妃(《楊貴妃》のシテ)も,日本の白河院の女御(《恋重荷(こいのおもに)》のツレ)も,みな,かぶり物は天冠,着付は摺箔,袴は大口,上衣は唐織を壺折(つぼおり)(後述)に着るという扮装になる。こうした扮装類型は,数え方にもよるが,約80~90種とみることができる。扮装類型が共通していれば,そこには謡,舞,囃子の技法にも共通した演出が見られる。一方,同じ役柄でも,小書(こがき)や流儀差によって扮装類型が変わることも多い。

能装束には特定の役柄に限って用いる特別の着装法として,次のようなものがある。(1)壺折 唐織や舞衣の裾を腰の部分で折りからげて着ること。(2)腰巻 摺箔などの着付の上に縫箔を着て,その両袖を脱いで後ろに垂らす着装法で,女性役に限って用いる。(3)裳着胴(もぎどう) 着付だけで,上衣をつけないこと。活動的な姿,取り乱した姿,病中の姿などを表す。(4)衣紋(えもん)に着る 狩衣など盤領(あげくび)物の装束の上前と下前を普通の襟のように折り込むこと。(5)肩上げ 水衣などの肩のところを双方でつまんで寄せ,糸で結んで袖を上げること。肩トルともいう。(6)肩脱ぎ 法被や長絹の右袖(弓を持つ場合は左袖)を脱ぎ,折りたたんで背にはさむ着装法で,武将などの活動的な役に用いる。(7)脱下げ(ぬぎさげ) 着流しにした唐織の右袖を脱いで後ろに下げることで,狂女物に多い。脱掛け(ぬぎかけ)ともいう。

能装束の色調は役柄によって区別される。とくに赤い色が特殊な色として尊重され,単に〈いろ〉といえば赤い色のことだけを意味する。女性役の装束について,〈いろ入り〉といえば赤系の色を使った装束のことで,《熊野(ゆや)》や《松風》のシテのような若く美しい女に用い,〈いろ無し〉といえば赤系の色を使わない装束のことで,《隅田川》《三井寺》のような中年の女に用いるのが普通のきまりになっている。色の区別でもう一点重要なのは襟の色である。襟は白を上位とし,萌葱(もえぎ),樺色などを下位とする。たとえば,《翁》や三番目物のシテには白を用い,太刀持や立衆など身分の低い役柄には萌葱を用いる。ワキは浅葱(あさぎ)を用いるのが普通だが,《張良(ちようりよう)》などワキのとくに活躍する能では赤を用いたりする。

狂言の装束も,上衣,着付,袴の類などに分けられること,各種の扮装類型のあることなど基本的な性格は能と共通している。しかし,能と狂言の題材,主題,登場人物の違いは,おのずから装束の種類・用法にも影響を与えている。狂言の人物は,中世の中・下層武士と庶民が大部分で,その服装にもとづいた扮装をするが,現在の装束はある程度様式化されている。能のように高貴な役や神仏などが登場することは少ないので,金襴や錦などで作った高価な品や,いかめしい仕立ての装束の使用はまれである。能装束と共通する品はあっても,その中で常用されるのは素襖や熨斗目のように比較的簡素なものである。

 狂言独自の装束として,(1)上衣の類では狂言肩衣(きようげんかたぎぬ),十徳(じつとく),長衣(ながごろも),柿羽織(かきばおり),(2)着付の類では縞熨斗目(しまのしめ),(3)袴の類では狂言袴,括り袴(くくりばかま),(4)上下揃いの装束としては長上下(なががみしも),モンパ(毛皮の縫いぐるみ),(5)かぶり物の類では角頭巾(すみずきん),能力(のうりき)頭巾,燕尾頭巾,ほくそ頭巾,鬼頭巾,末社頭巾,官人頭巾,仙人頭巾,大黒頭巾,ビナン鬘,綿帽子,帽子(もうす)などがある。最も特徴的なのは狂言肩衣で,鬼瓦,カタツムリ,トンボ,帆掛け舟,野菜など,日常卑近な図柄を大きく描いた洒脱な装束である。足袋は能ではつねに白足袋を用いるが,狂言は黄色で,これはアイの場合も同じである。
狂言 → →能面
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「能装束」の意味・わかりやすい解説

能装束
のうしょうぞく

能に用いる扮装(ふんそう)の総称。狭義には演能用の布製品であるが、広義には演者が身につけるもので、能面を除くすべてをさし、烏帽子(えぼし)、冠、仮髪の類も含まれる。衣装とはいわず、かならず装束と呼称する。

 世阿弥(ぜあみ)時代の装束は、日常の衣装の流用、リアルな扮装程度だったと推定される。『風姿花伝(ふうしかでん)』には、女に扮する場合の注意として「いかにもいかにも袖(そで)の長き物を着て、手先をも見すべからず。帯などをも弱々とすべし」とある。唐織(からおり)などの豪華な能装束が製作されるようになったのは、室町末期から桃山時代にかけてとされ、今日舞台でみる能装束の様式は、演出の固定化された江戸中期にほぼ完成された。現存最古の能装束は、観世宗家に伝わる足利義政(あしかがよしまさ)拝領のもので、江戸時代の徳川家、井伊家、細川家ほかの大名家の装束も多く保存されている。

 能装束は第一級の日本の伝統工芸作品であり、その美術的価値も高い。能装束に用いられる技術は織物が主体で、それに刺繍(ししゅう)、箔(はく)押しが用いられ、染めはほとんど用いられず、後世の友禅(ゆうぜん)染めなどは、まったく能装束に導入されなかった。代表的な唐織は、金銀箔の糸を加えた豪華なもので、すべて織りで模様を浮き出してある。西陣織の技術の発達と、能を愛した大名たちの財力によるものである。男の役や強い神、鬼などの着る狩衣(かりぎぬ)、法被(はっぴ)、側次(そばつぎ)、半切(はんぎり)(半切(はんぎれ)とも)などは金襴(きんらん)や錦(にしき)が多用され、かつては中国からの輸入裂(ぎれ)が用いられた。有職(ゆうそく)の装束をそのまま流用したものに、貴人の指貫(さしぬき)や直衣(のうし)、男の平服としての素袍(すおう)、官女の着る緋長袴(ひのながばかま)がある。ごわごわした袴である大口(おおぐち)、腰に結んで前に垂らす腰帯(こしおび)、男の役にも女にも用いる長絹(ちょうけん)は有職の転化したものである。長絹や、能独特のデザインとされる舞衣(まいぎぬ)、あるいは単(ひとえ)狩衣、単法被には、絽地金襴(ろじきんらん)や顕文紗(けんもんしゃ)が用いられる。ダスターコート風の無地の外衣である水衣(みずごろも)も、能独特のものである。織り方で「しけ」「よれ」の区別があり、また縞(しま)物もある。金銀の箔で模様を摺(す)り出した摺箔(すりはく)、刺繍と箔で文様をつくる縫箔(ぬいはく)も、主として女性の役に用いる。摺箔の三角の鱗(うろこ)の連続模様は、鬼女の性を表す決まりになっている。なお、能の装束の絹に対し、狂言は麻を主調としている。

 普通、舞台で用いられる能面の100種程度に比べ、装束の種類はさほど多くない。単(ひとえ)・袷(あわせ)の別、織り方の変化や、無地か模様かといったことを別にすると、着付けのたぐい六、上衣(小袖の類)六、外衣(袍(ほう)の類)九、袴のたぐい四といった程度で、基本の扮装の類型は90種程度である。しかし、装束の取り合わせや、つけ方(唐織を例にとれば、ワンピース的用法のほか、ツーピース的なつけ方、右袖脱いだ着方など六通りの変化がある)、単と袷の違い、帽子、烏帽子、冠、仮髪などの変化、鬘(かつら)を締める鬘帯(かづらおび)、また腰の前に垂らす腰帯の選択などで、類型を破るくふうを凝らす。これも、基本を極端に少なくして、無限を表現しようとする能の理念によるものである。

 能装束には細かに揺れ動く縮緬(ちりめん)の類を用いないから、そのデザインはむしろ直線的な明快さ、張りの強い材質の重厚さに貫かれ、木彫りの能面と、幾何学的に抽象化された演技とに調和する。また様式化が極度に進んだため、むしろ面や装束が演出を規制するともいえる。たとえば、若く美しい女性の役は「紅(いろ)入り」といって赤い色の装束を用い、母親の世代や中年以降は「紅(いろ)無し」、つまり赤を用いず、これを演出の大きな基準とする。3年の孤閨(こけい)に耐えかね、夫を恨みつつ死んでいく「砧(きぬた)」のシテを、新婚まもない妻とし「紅入り」とするか、性的に円熟した「紅無し」の年齢に設定するかは、大きな曲目の解釈の相違である。また胸元にわずかにのぞく襟の色の選択一つによっても、演出が左右されるほどである。曲目や流儀により決まりの組合せがあり、模様まで指定される場合がある。昔は専門の物着方(ものきせかた)がいたが、現在では後見が着せる。同じ装束でも時代によってつけ方に変化と洗練がみられるのは、女性の役の基本の扮装に、五流の能と山形県の黒川能に大きな差があることをもっても知られる。世阿弥時代の絵には、鬼の役が「けがりは」とよばれる沓(くつ)を履いているが、今日では履き物はいっさい用いず、すべて白足袋(しろたび)で、足の運びの美しさを強調する。

[増田正造]

『山辺知行著『能装束文様集』(1969・檜書店)』『増田正造著『能のデザイン』(1976・平凡社)』『切畑健・増田正造編『井伊家伝来 能装束百姿』(1984・平凡社)』


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百科事典マイペディア 「能装束」の意味・わかりやすい解説

能装束【のうしょうぞく】

能の衣装。仮髪(かはつ)(かつら),冠の類を含む。有職(ゆうそく)の装束の転用や変形もあるが,桃山時代から元禄期にかけて豪華な独自なものに発達した。やや大ぶりで,かたい線のデザインが特徴。上衣(唐織(からおり),長絹(ちょうけん)),外衣(水衣(みずごろも),狩衣(かりぎぬ)),袴(はかま)(大口(おおぐち),半切(はんぎり))などがあり,着付の基本型は約20種。組合せ,着方,色の配合(特に紅色の有無),織りの違いで変化をねらう。役柄による様式性が強い。
→関連項目

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「能装束」の意味・わかりやすい解説

能装束
のうしょうぞく

能に用いる装束類の総称。衣装のほか,鬘帯 (かつらおび) ,腰帯,角帽子 (すんぼうし) などのかぶりものも含める。舞台衣装として完成されるのは江戸時代からで,表着に直衣 (のうし) ,狩衣,長絹,唐織など,着付に厚板 (あついた) ,厚板唐織,縫箔 (ぬいはく) ,摺箔 (すりはく) ,熨斗目 (のしめ) など,袴類に指貫 (さしぬき) ,長袴,大口,半切 (はんぎれ) などがあり,年齢,性別,役柄によって用いる装束が規定されている。

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世界大百科事典(旧版)内の能装束の言及

【織物】より

…今日各地に残る伝統的工芸織物の多くは,土地の自然環境や歴史的特質を反映して成長したものである。 西陣を中心として発達してきた高度な技術を要する紋織物は,幕府の政策的な能楽の奨励と隆盛にともない江戸中期には能装束として花咲き,唐織をはじめ金襴,紋紗,金紗,絽金などの意匠や技術のうえに素晴らしい発展がみられた。また小袖の発達にともなって生じた近世服飾史上の最も大きな特色の一つは,女帯の発達である()。…

【能】より

…同じく女面に,般若(はんにや),蛇(じや)など。能面
【能装束】
 能装束は実生活の被服から出発して,しだいに舞台専用の形状と用法を備えるにいたったものである。たとえば公家の使用する狩衣(かりぎぬ)は,身ごろも袖も1幅半であるが,能装束では完全に2幅となっている。…

※「能装束」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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