脊椎辷症(読み)せきついすべりしょう(英語表記)spondylolisthesis

精選版 日本国語大辞典 「脊椎辷症」の意味・読み・例文・類語

せきついすべり‐しょう ‥シャウ【脊椎辷症】

〘名〙 脊椎分離症に伴う病気脊椎を横からみて、上部の脊椎が下の脊椎に対して、前方あるいは後方にすべった状態腰痛下肢脱力感を主症状とする。

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改訂新版 世界大百科事典 「脊椎辷症」の意味・わかりやすい解説

脊椎辷症 (せきついすべりしょう)
spondylolisthesis

椎骨が種々の原因により前方にすべる症状を総称する。原因のなかで多いのは,椎弓分離があってすべる分離辷りと,椎間板や椎間関節の年齢的変化による変性性辷り(無分離辷り)である。これらのほかに先天性奇形や全身性疾患が原因のものもある。

 無症状であることも多いが,腰痛,坐骨神経痛,あるいは間欠性跛行などの症状が出現すれば,脊椎辷症としての治療が必要となる。コルセット装着,理学療法,体操療法,あるいは薬物療法などが用いられる。椎間関節や硬膜外腔への局所麻酔剤および副腎皮質ホルモン剤注射も有効である。これらの保存療法により改善されず,日常生活上支障があれば,手術(椎骨間の固定術や神経根圧迫の除圧術)が考慮されるが,坐骨神経痛や間欠跛行を有するものに手術が行われることが多い。

 なお,脊椎の椎弓の分離やそれに伴う椎体の前方への辷りが頸椎に発生することがまれにはあるが,通常先天性の変化であって,ほとんど症状と関係しない。
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