家庭医学館 「脾(臓)機能亢進症」の解説
ひぞうきのうこうしんしょう【脾(臓)機能亢進症 Hypersplenism】
血液をつくる骨髄(こつずい)のはたらきが亢進(こうしん)しているのに、貧血、白血球減少(はっけっきゅうげんしょう)、血小板減少(けっしょうばんげんしょう)といったさまざまな程度の血球の減少が存在し、脾臓(ひぞう)を摘出すると血球減少が改善される状態を、脾機能亢進症といいます。
これは1つの病気をさすのではなく、いろいろな病気が原因でおこってくる症候群といえます。
原因となる病気は、敗血症(はいけつしょう)、マラリアなどの感染症、サルコイドーシス、慢性骨髄性白血病(まんせいこつずいせいはっけつびょう)、骨髄線維症(こつずいせんいしょう)などの血液の病気、肝硬変(かんこうへん)、門脈血栓症(もんみゃくけっせんしょう)、特発性門脈圧亢進症(とくはつせいもんみゃくあつこうしんしょう)など、いろいろなものがあります。
また、透析(とうせき)中の腎不全(じんふぜん)の患者さんにもみられます。
[症状]
原因となっている病気の症状のほかに、白血球の減少や血小板の減少などの程度に応じて、疲れやすいといった貧血の一般症状(貧血とはの「貧血の症状」)や、出血しやすくなるなどの症状が現われます。
[検査と診断]
診断には、血液検査と、骨髄に針を刺し血液を採取して調べること(骨髄穿刺(こつずいせんし))が必要です。そして、触診などで、脾臓が腫(は)れていることを確認します。
[治療]
脾臓を摘出するのが唯一の治療法ですが、この治療が必ず必要とはかぎりません。
脾臓を摘出すべきかどうかは、血球減少の程度や、原因となっている病気の種類を検討して慎重に決定されます。