膠州湾(読み)コウシュウワン(英語表記)Jiāo zhōu wān

デジタル大辞泉 「膠州湾」の意味・読み・例文・類語

こうしゅう‐わん〔カウシウ‐〕【膠州湾】

中国山東半島南岸の湾。1898年ドイツ租借し、湾口青島チンタオを東洋艦隊の根拠地とした。第一次大戦中、日本占領、1922年中国に返還。チアオチョウワン。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「膠州湾」の意味・読み・例文・類語

こうしゅう‐わん カウシウ‥【膠州湾】

中国、山東省、山東半島基部南側にあり、黄海に面する湾。付近に膠州(現在は膠県)がある。一八九八年以来ドイツの租借地となり、湾口の岬に青島(チンタオ)が発展した。第一次世界大戦の際に日本軍が占領。一九二二年ワシントン会議の結果、中国に返還された。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「膠州湾」の意味・わかりやすい解説

膠州湾 (こうしゅうわん)
Jiāo zhōu wān

中国,山東半島の南岸にある湾。湾口は東西に山地が迫り,黄島,唐島などの島が分布して狭いが,湾内は袋状に広がる。湾奥は大沽河(南膠河),膠萊河北膠河)が流入し,沖積デルタが形成されている。山東半島の山地と,山東丘陵の間にできた断層陥没地の南部が海湾となったもの。南方より華北に至る海運の基地として適当な位置にあり,湾奥の膠県(膠州)は,沖積作用のすすむ以前は海岸に近く,唐代にはその港の板橋鎮アラビアとの交易でにぎわい,宋代には市舶司が置かれたほどであった。清末,ドイツが湾岸一帯を租借して以来,国際紛争の舞台となり,港湾としては青島(チンタオ)が大きく発展して中心となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「膠州湾」の意味・わかりやすい解説

膠州湾【こうしゅうわん】

中国,山東半島南西部,黄海に面する湾で,天然の良港をなす。海港として古くから開発され,1898年ドイツが租借して青島(チンタオ)市街と港湾を建設,東洋艦隊の根拠地とした。第1次大戦に際し日本が占領,1922年ワシントン会議の結果,中国に返還された。沿岸一帯では天日製塩漁業が盛んで,遊覧地としてもにぎわう。
→関連項目租借地青島

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「膠州湾」の意味・わかりやすい解説

膠州湾
こうしゅうわん / チヤオチョウワン

中国、山東(さんとう/シャントン)省東部、山東(膠東)半島南部の湾。湾口は南東で黄海(こうかい/ホワンハイ)に開き、北東から嶗山(ろうざん)岬、南西から薜家(せっか)島が突き出すため狭い。北西では南膠河が流入する。湾内は不凍で、湾奥の膠県(膠州)は良港とされたが、1898年ドイツに租借後、湾頭の漁村青島(チンタオ)が急速に発展し、その地位を譲った。1914年日本に占領され、22年に返還された。湾岸は中国有数の海塩生産地である。

[駒井正一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

旺文社世界史事典 三訂版 「膠州湾」の解説

膠州湾
こうしゅうわん
Jiāozhōu Wān

中国の山東 (シヤントン) 半島の南西にある小湾
名称は西岸の膠州に由来。日清戦争後ドイツの宣教師が殺害されたのを口実に,1898年ドイツ政府がこれを99か年期限で租借した。ドイツは青島 (チンタオ) を経営して海軍根拠地とし,そこから済南に至る山東鉄道を敷設した。第一次世界大戦に際し,日本軍が占領し,日本資本が進出した。1922年ワシントン会議の結果中国に返還されたが,日本資本による工場が多く,多数の日本人も居住していた。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「膠州湾」の解説

膠州湾
こうしゅうわん

中国山東半島南西部にある湾
1898年,ドイツが租借。日本は第一次世界大戦に参戦した際に占領,1915年二十一カ条要求の中で,膠州湾の還付と交換に山東省の旧ドイツ利権の継承を中国に強要した。パリ講和会議では中国の反対を無視して日本の主張が承認されたが,'22年の九カ国条約により中国に返還された。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「膠州湾」の解説

膠州湾(こうしゅうわん)
Jiaozhouwan

中国,山東半島南岸にあり,天然の良港となっている。1898年,ドイツが99カ年の期限で租借し,湾口に青島(チンタオ)市を建設して東洋艦隊の根拠地にした。第一次世界大戦で日本軍が占領し,のち中国に返還した。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の膠州湾の言及

【租借地】より

…すなわち,ロシア,ドイツ,フランスは三国干渉によって日本の進出を抑えたことの報酬と称して事実上の割譲を中国に強要した。ドイツは1897年(光緒23)11月にドイツ人宣教師殺害事件を口実に青島を武力占領し,翌98年3月の条約で膠州湾を99ヵ年の期限つきで租借した。これに刺激されて同じ年にロシアは旅順,大連(各25ヵ年),三国干渉に加わらなかったイギリスもロシアとの勢力均衡を理由に威海衛(期限はロシアが旅順,大連を租借している間)と九竜半島(99ヵ年),翌年フランスは広州湾(99ヵ年)をおのおの租借したのである。…

※「膠州湾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android