臆病口(読み)おくびょうぐち

精選版 日本国語大辞典 「臆病口」の意味・読み・例文・類語

おくびょう‐ぐち オクビャウ‥【臆病口】

〘名〙
能舞台で向かって右端奥の引き戸出入り口。ここから地謡、後見などが出入りする。切り戸口
俳諧・伊勢正直集(1662)二「苗代の臆病くちか水おとし〈家里〉」
歌舞伎舞台の上手(かみて)奥の出入り口。下座(げざ)ともいう。松羽目物では、能舞台にならって、上手に切り戸口を設けて出入り口とする。
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)五「臆病口一軒目桟敷の上に、雲棚をして」

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デジタル大辞泉 「臆病口」の意味・読み・例文・類語

おくびょう‐ぐち〔オクビヤウ‐〕【臆病口】

能舞台の、向かって右手側面の奥にある小さな引き戸の出入り口。切り戸口。
歌舞伎舞台で、能舞台を模した舞台装置のとき、上手かみて奥に作られる出入り口。古くは、上下かみしも両方の大臣柱後ろの出入り口。

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世界大百科事典(旧版)内の臆病口の言及

【能舞台】より

… シテやワキなどが扮装の変更や場面転換のためにアト座を利用することがある。舞台への出入りは橋掛りの突当りの幕口を主とし,ほかにアト座右奥に切戸口(きりどぐち)(臆病口とも)がある。幕口には揚幕(多くは五色の緞子(どんす)などをはぎ合わせて作る)を下げ,その両袖に結び付けた2本の竹で上げ下げする。…

※「臆病口」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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