知恵蔵 「臍帯血移植」の解説
臍帯血移植
臍帯血の採取・調製・保存や医療機関への提供は、厚生労働大臣の認可を受けた「公的さい帯血バンク」が担っている。日本赤十字社などとの提携の下、全国六つの事業所に約1万本の臍帯血が保管されている。また、ドナーと委託契約を結び、有償で臍帯血を保管する「民間さい帯血バンク(臍帯血プライベートバンク)」も活動している。臍帯血を使った再生医療に期待が寄せられていることもあり、国の認可は必要なく、確認されているだけで過去7社(稼働中は3社/17年11月時点)が事業を行ってきた。しかし17年、全国の複数のクリニックで、美容・アンチエイジング・がん治療など、医学的に根拠がない違法な臍帯血移植が行われていることが発覚。8月には、治療計画の届け出などを義務付けた「再生医療安全性確保法」(14年施行)違反で、移植に関わったクリニックの医師や販売業者ら6人が逮捕された。破産した「民間さい帯血バンク」から流出した臍帯血が使われたものと見られ、厚生労働省は民間バンクの実態解明および指導強化を図っている。
(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報