自前（読み）じまえ

精選版 日本国語大辞典

じ‐まえ ‥まへ【自前】

〘名〙

① 自分に関するものの費用を自分でまかなうこと。自弁。自分持ち。また、自分の金で手に入れた物。じまい。

※洒落本・粋好伝夢枕（1829）「しゃうしゃう寒さもいとわず自まへの衣裳をひろげたて」

② 職人などが独立して営業すること。独立。じまい。

※咄本・軽口露がはなし（1691）四「そちは此季より自前(ジマヘ)に宿を持たるよし」

③ 遊女や芸者が独立して営業すること。また、その者。じまい。⇔かかえ。

※洒落本・古契三娼（1787）「地(ヂ)めへの子どもは、十二もんめの中を茶屋へ六もんめとられ」

※当世書生気質（1885‐86）〈坪内逍遙〉四「数寄屋町へ自前(ジマヘ)で再勤のひろめをなし」

じ‐まい【自前】

〘名〙 ＝じまえ（自前）〔伊京集（室町）〕

※洒落本・禁現大福帳（1755）三「衣類手道具まで自前(ジマイ)の働」

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

じ‐まえ〔‐まへ〕【自前】

１ 費用を自分で負担すること。自弁。自分持ち。「食費は自前だ」「自前の衣装」
２ 職人・芸者などが独立して営業すること。「自前で稼ぐ」⇔抱かかえ。
[類語]手弁当・自弁・持ち・持ち出し・自腹を切る・身銭を切る・懐を痛める

出典　小学館