自動包装機(読み)じどうほうそうき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自動包装機」の意味・わかりやすい解説

自動包装機
じどうほうそうき

物品輸送、保管、販売、使用などの際に、汚れや破損、変質などを防いだり、商品としての体裁を整えたりする目的で、容器封入、包装を自動的に行う機械。

[秋元寿雄]

歴史

1870年ごろからアメリカ、イギリス、ドイツなどで研究・開発が始まり、1900年代に入って機械産業としての自動包装機が生産されるようになった。日本には1920年(大正9)ごろから、アメリカ、イギリスのキャラメル自動包装機や、スウェーデン、イギリスのタバコ自動包装機が輸入された。国産化は1930年(昭和5)ごろからで、牛乳瓶詰機、せっけん上包み機、各種の缶詰機械が使用されたが、日中戦争から第二次世界大戦への戦争の拡大によって包装の自動化は一時進展が止まった。戦後合成樹脂を中心とする包装材料が急速に発展し、食品のような消費材から工業用の部品原材料まで、一度は自動包装機を経ないものはないほど普及し、産業上不可欠の設備となっている。

[秋元寿雄]

種類

包装の目的、包装する品物の種類や用途、保存期間、包装材料、生産量や包装切替えの頻度などによって多くの種類がある。

(1)商品個々の包装用 充填(じゅうてん)機、製袋(せいたい)充填機(縦型ピロー包装機、横型ピロー包装機、四方シール包装機)、小袋詰め機、上包み機、収縮包装機、ストレッチ包装機、真空包装機、ガス封入包装機など。

(2)輸送・保管向けの包装用 段ボールケーサー、バンド掛け機、ひも掛け機など。

[秋元寿雄]

構造

商品個々の自動包装機は、あらかじめ設定したプログラムどおりに作業を繰り返す機構である。一般的には電動機を主動力とし、カムクランク、リンク装置、間欠運動装置、周期的変速装置などの伝動装置をもち、プログラムを順序正しく進める装置としてシーケンサーマイクロコンピュータなどの電子装置が組み込まれていることも多い。二つ以上の包装作業がある場合には、工程を追って自動包装機を組み合わせてシステムを構成する。たとえばチョコレートの包装では、内側のアルミ箔(はく)と台紙外装の自動包装機がシステムを形成している。

 合成樹脂フィルムの熱可塑性を応用した熱溶着(ヒートシール)技術も広く利用され、密封を要する各種の食品、医薬品、日用品、乾電池などの小型電気製品を1分間に50~250個包装する横型ピロー包装機などが使われている。

[秋元寿雄]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自動包装機」の意味・わかりやすい解説

自動包装機
じどうほうそうき
automatic packing machine

自動的に商品などを包装するための装置。特に食品を包装する場合には,中を真空にするような,真空パック包装機などがある。この工程も完全に自動化されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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