自国民不引渡しの原則(読み)じこくみんふひきわたしのげんそく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自国民不引渡しの原則」の意味・わかりやすい解説

自国民不引渡しの原則
じこくみんふひきわたしのげんそく

国家間で犯罪人の引渡しが行われるのは,通常請求国または第三国国籍を有する者に限られ,国外で犯罪行為を行なった自国民は引渡さないとする原則。政治犯不引渡しの原則とともに国際慣習法上認められており,大多数の国で採用している。主要な例外はアメリカ,イギリス両国で,犯罪は行為地で処罰されるべきであるというコモン・ロー伝統に基づき,自国民の引渡しを認めている。日本では逃亡犯罪人引渡法2条9号で,引渡条約別段の定めのないかぎり,日本国民を外国に引渡してはならないと規定している。

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世界大百科事典(旧版)内の自国民不引渡しの原則の言及

【犯罪人引渡し】より

…現代の国際社会において,同質的な国家間では,〈政治犯不引渡しの原則〉を排除する傾向があり,他方,イデオロギーや体制の異なる国家間では,犯罪の性質決定をめぐり被請求国に裁量の余地を認める傾向が存在する。 犯罪人引渡しがなされる犯罪人は,通常請求国か第三国国民に限られ,被請求国の国民は引き渡されない(〈自国民不引渡しの原則〉)。しかし,イギリス,アメリカでは刑罰法規の適用に属地法主義をとって自国民も引き渡しており,この原則は,慣習国際法とはいえない。…

※「自国民不引渡しの原則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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