自然権と歴史(読み)しぜんけんとれきし(英語表記)Natural Right and History

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自然権と歴史」の意味・わかりやすい解説

自然権と歴史
しぜんけんとれきし
Natural Right and History

政治哲学者 L.ストラウス著。 1953年刊。この著書で彼は価値や目的に対する問いかけを失い,ひたすら没価値的な自然科学化に奔走する現代政治学を痛烈に批判している。ストラウスによれば,究極的な価値基準であった自然法への問いを拒絶した社会科学は目的の正・不正を区別する手立てを欠いており,その意味で道具的である。そして我々はニヒリズムに陥り,そこには賭博的な決断に賭けるファシズムが待受けている。ストラウスによれば価値判断を含まない社会科学的認識はなく,人間が本来的に善を求める存在であるとすれば,共通善の実現を目指した善の客観化こそが学問使命とされる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android