自由円(読み)ジユウエン(英語表記)free yen

デジタル大辞泉 「自由円」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐えん〔ジイウヱン〕【自由円】

対外取引を原則禁止としていた旧外為法外国為替及び外国貿易管理法)のもとで、外貨と自由に交換できた円。昭和35年(1960)為替自由化一環として設けられたもので、非居住者外国人)が合法的に得た円を日本外国為替公認銀行に預金している自由円勘定に限って認められていた。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「自由円」の意味・読み・例文・類語

じゆう‐えん ジイウヱン【自由円】

〘名〙 ドルポンドなどの国際通貨と自由に交換できる円のこと。昭和三五年(一九六〇)非居住者(外国人)自由円勘定創設により円は対外決済に使用できる指定通貨となった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「自由円」の意味・わかりやすい解説

自由円 (じゆうえん)
free yen

1980年12月施行の改正以前の旧外国為替管理法(外国為替及び外国貿易管理法)のもとで,非居住者が保有する円のうち,米ドルや英ポンドなどの外貨に自由な交換が認められる円を自由円,またその預金勘定を非居住者自由円勘定と呼んだ。1960年7月,為替自由化の一環として設けられた。この自由円勘定に対し,旧外国為替管理令5条に基づき,勘定残高の一部について外貨への交換が認められる〈5条円〉という非居住者円勘定がある。非居住者が合法的に取得した日本の公社債など(円払証券)の元本償還金・処分代金,日本から永住の目的で出国した者が出国前日本で所有していた現金などがこの勘定に預入れされ,そこからの払出しは原則として各年末残高の30%または72万円のいずれか多いほうの金額を限度としてそれを外国へ送金する場合に認められていた(1977年6月廃止)。1980年12月施行の外国為替管理法改正に伴い,自由円は非居住者円と改称され,その預金勘定も非居住者円預金勘定と改められた。
為替管理
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「自由円」の意味・わかりやすい解説

自由円
じゆうえん

外貨に自由に交換できる円、つまり交換可能円のこと。わが国では為替(かわせ)自由化の一環として、1960年(昭和35)7月1日から外国人(非居住者)に自由円勘定を開設することを認めた。この非居住者自由円勘定に入金が認められる円は、非居住者が外貨を為替銀行に売却して得た円、ならびに外貨決済が認められた取引に伴って非居住者が外貨受領のかわりに受領した円である。この措置により円は対外決済に使用できる指定通貨となり、円為替導入への道が開かれた。すなわち、非居住者は日本の外国為替公認銀行に自由円勘定を開設し、輸出入取引などの実需に円為替を使用できるほか、裁定取引などの金融取引にも円為替を利用できるようになった。なお、非居住者自由円勘定は、1980年12月の「外国為替及び外国貿易管理法」の改正とともに非居住者円勘定に一本化され、円の国際化の進展が図られた。

[土屋六郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「自由円」の意味・わかりやすい解説

自由円
じゆうえん
free yen

ドルやポンドなどの国際通貨と自由に交換できる円 convertible yenのこと。日本では 1960年7月より非居住者に対し自由円勘定 free yen accountを設置することを認めた。それにより非居住者が日本の外国為替銀行に設けた円預金勘定のことで,その残高はいつでも自由に外貨に交換できることから交換可能円とも呼ばれていた。 80年 12月に外国為替及び外国貿易管理法 (外為法) が改正されてからは,平時にも円の外貨交換性が認められ,外国への支払いが原則自由となったため,自由円は存在意義を失い,現在は非居住者円勘定と呼ばれている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「自由円」の意味・わかりやすい解説

自由円【じゆうえん】

外貨に自由に交換できる交換可能円のこと。非居住者(外国に住んでいる日本人や日本法人の外国支店など)が日本へ送ってきた外貨を替えた円など。1960年7月に設けられた非居住者自由円勘定制度により外国為替公認銀行に開設した勘定に入れられ,外国への送金の場合にもとの外貨に交換できた(1977年廃止)。1980年外国為替管理法改正に伴い,自由円は非居住者円と改称され,その預金勘定も非居住者円預金勘定と改められた。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android