[1] 〘名〙
① (形動)
最上のこと。この上ないこと。また、そのさま。
至上。他の語に付いて
接尾語のように用いられることもある。
※
万葉(8C後)五・八〇二・序文「又説 愛無
レ過
レ子、至極大聖尚有
二愛
レ子之心
一、况乎世間蒼生誰不
レ愛
レ子乎」
※天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事「ソノヒト コレワ ラウゼキ xigocuna
(シゴクナ) ヤツヂャト ユウテ」 〔
荘子‐逍遙遊〕
② (━する) 最後にたどりついたところ。最上の
境地。また、そこに到達すること。
頂点に達すること。
※兼仲卿記弘安六年冬巻裏文書‐弘安二年(1279)八月・大神宮使・祭主使連署注進状「立二榊八卦於供御料田一之条、無双重科也。此等依レ令二至極一、寄二事於大門法眼一歟」
※花鏡(1424)幽玄之入
事「その物その物の
物まねばかりをし分けたるを、しごくと心得て、姿を忘るるゆへに、左右なく幽玄の堺に入らず」
※園太暦‐康永三年(1344)七月二四日「於二公家御沙汰一者、令二至極一之上者、争不二恨申一哉」
④ それ以上は譲れないという限界。ぎりぎりの線。この上ない決意。
※浮世草子・
武道伝来記(1687)一「たとひ
一命にかへても爰は出さぬ至極
(シコク)なり」
⑤ 感きわまること。感動が頂点に達すること。
※浮世草子・俗つれづれ(1695)二「至極(シゴク)のなみだにしづめば」
⑥ (形動) きわめてもっともなこと。理にかなっていること。また、そのさま。至当。
※浮世草子・好色一代男(1682)六「世之介是を聞もあへず、
死出立(しにでたち)にてかけこみしを、おのおの懸合
(かけあはせ)、
義理をつめ、至極
(シゴク)にあつかひ」
⑦ (━する) もっともだと思って了承すること。納得すること。
※源平盛衰記(14C前)六「君の
思し召し立つ処、道理尤も至極
(しコク)せり」
※浮世草子・西鶴織留(1694)二「『母が言葉をひとつも忘れな』といへば、娘も是を至極(シゴク)して」
[2] 〘副〙
① この上なく。きわめて。非常に。いたって。まったく。完全に。
※梵舜本沙石集(1283)三「
食後の菓子まで、至極せめくひて」
② かならず。きまって。
※
政基公旅引付‐文亀三年(1503)七月三〇日「此上者面をは不
レ可
レ随
レ国之由雖
レ申之、於
二所行者
一至極国方に相随者哉」