舎利弗(読み)しゃりほつ

精選版 日本国語大辞典 「舎利弗」の意味・読み・例文・類語

しゃりほつ【舎利弗】

(Śāriputra の音訳身子などと訳する) 釈迦十大弟子一人十六羅漢(らかん)の一人。提舎を父、舎利を母として、釈迦当時の中部インド摩掲陀(まかだ)国の婆羅門(バラモン)の家に生まれた。懐疑論者に師事していたが、のち釈迦の弟子となり、その教化を助け、智慧第一と称された。〔大智度論一二

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デジタル大辞泉 「舎利弗」の意味・読み・例文・類語

しゃりほつ【舎利弗】

《〈梵〉Śāriputraの音写。身子などと訳す》釈迦しゃか十大弟子の一人。十六羅漢の一。インドのマガダ国に生まれ、釈迦に師事し、その布教を助けた。智慧ちえ第一と称される。舎利子

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「舎利弗」の意味・わかりやすい解説

舎利弗
しゃりほつ

生没年不詳。紀元前5世紀ごろの人。釈迦(しゃか)の第一の弟子。サンスクリット語シャーリプトラŚāriputra、パーリ語でサーリプッタSāriputtaの音写。玄奘(げんじょう)は舎利子と訳す。中インドのマガダ国バラモンの家に生まれ、もとウパティッサUpatissaと称した。若いころから学問に優れ、当時もっとも有名な論師の一人で徹底した懐疑論者のサンジャヤSañjayaの弟子となり、目犍連(もくけんれん)(目連(もくれん))と親しむ。のち仏弟子のアッサジAssajiに出会い、その教えを聞いて翻然と悟り、目連およびサンジャヤの弟子250人とともに仏弟子となる。とくに智慧(ちえ)に優れ(智慧第一)、釈迦の教説を理論づける働きも果たしたらしく、釈迦にかわって説法する例も少なくない。釈迦入滅以前に没したといわれる。仏教外の資料には舎利弗を仏と扱う例もみられる。のちに大乗仏教おこり種々の大乗経典がつくられた際、舎利弗は部派仏教(いわゆる小乗)の代表として、また最高の仏弟子のごとく、しばしば引用されている。

[三枝充悳 2016年11月18日]

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百科事典マイペディア 「舎利弗」の意味・わかりやすい解説

舎利弗【しゃりほつ】

古代インドの仏教僧。釈迦の十大弟子の一人。サンスクリットのシャーリプトラの音写。マガダ国,王舎城の北のバラモンの家に生まれ,懐疑論者サンジャイーバイラチープトラの弟子として,100人を率いたが,釈迦に帰依,高弟の随一とされ,智慧(ちえ)第一といわれた。釈迦より先に入滅。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「舎利弗」の意味・わかりやすい解説

舎利弗
しゃりほつ

インドの僧。サンスクリット語 Śāriputraの音写。釈尊十大弟子のうちで最も有力だった人で,智慧第一と称された。もと,王舎城に住んでいたバラモンのサンジャヤに従って修行していたが,釈尊の弟子であるアッサジという修行者が托鉢のために王舎城に入るのを見て心を打たれ,釈尊の弟子となった。

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世界大百科事典(旧版)内の舎利弗の言及

【十大弟子】より

釈迦の10人の主要な弟子のこと。(1)舎利弗(しやりほつ) パーリ語でサーリプッタSāriputta。舎利子とも書かれる(puttaの音訳が弗,意訳が子)。…

※「舎利弗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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