船主責任相互保険組合(読み)せんしゅせきにんそうごほけんくみあい

改訂新版 世界大百科事典 「船主責任相互保険組合」の意味・わかりやすい解説

船主責任相互保険組合 (せんしゅせきにんそうごほけんくみあい)

船舶所有者または運航者が船舶の運航にともなってこうむる責任,損失および費用等で通常の海上保険業者が塡補(てんぽ)しないものを互助的にカバーするために船主間に発達した保険組合で,P & Iクラブprotection and indemnity insurance clubとも呼ばれる。P & Iクラブ発祥の地はイギリスであり,現在でもイギリスは世界のP & I保険市場の中心地となっている。日本でも1950年の〈船主相互保険組合法〉にもとづいて同年,日本船主責任相互保険組合が設立されその機能を営んでいる。P & Iクラブは一般的に組合員自治による自主性を基調とし,またメンバー(組合員)による相互組織である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「船主責任相互保険組合」の意味・わかりやすい解説

船主責任相互保険組合
せんしゅせきにんそうごほけんくみあい
Protection and Indemnity Association

船舶や積荷の航海中の事故について,海上保険契約では通常引受けられることのない賠償責任や費用などを填補する目的で,船主または用船者が一定の負担金を醵出して結成している互助的な保険組合。イギリスにおいて発達したもので,P&Iクラブと略称され,その保険をP&I保険ともいう。担保する危険は,船舶運航上の過失によって生じた過失船主責任から法令に基づく無過失船主責任にまで及び,衝突の際の人命損傷に対する賠償金,船員の傷病に対する責任と費用,汚損海面清掃費用,その他きわめて広範な船主責任を填補するが,まだすべてを担保するまでにはいたっておらず,タンカーの油濁責任についてはP&Iクラブ以外の国際民間協定による基金に依存している。日本でも 1950年,船主相互保険組合法に基づき日本船主責任相互保険組合が設立されている。

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