良人(読み)りょうじん

精選版 日本国語大辞典 「良人」の意味・読み・例文・類語

りょう‐じん リャウ‥【良人】

〘名〙
① よい人。賢明で善良な人。
田氏家集(892頃)上・過田大夫荘呈船秀才「勝地名家寄一丘、良人美話是綢繆」
正法眼蔵随聞記(1235‐38)六「善知識にしたがひ良人久を聞ば、自然に心もよくなる也」 〔詩経‐大雅・桑柔〕
令制で、身分の一つ。賤(陵戸・官戸・家人公奴婢私奴婢)に対する概念。また、口分田(くぶんでん)班給をうけ租庸調を納める普通の農民公民良民。良。
※続日本紀‐和銅六年(713)五月甲戌「物部乱等廿六人、庚午以来、並貫良人
③ おっと。亭主
文華秀麗集(818)中・奉和春閨怨〈朝野鹿取〉「賤妾中心歓未尽、良人上馬遠従征」
※新撰朗詠(12C前)上「寡妾衣を擣って南楼の月に泣く、良人未だ帰らず〈大江匡房〉」 〔孟子‐離婁下〕

よき【良】 人(ひと)

① 身分・教養のある人。高貴な人。また、すぐれた人。立派な人物
仏足石歌(753頃)「与伎比止(ヨキヒト)の正目に見けむ御足跡(みあと)すらを我はえ見ずて石に彫(ゑ)りつく玉に彫りつく」
徒然草(1331頃)七九「よき人は知りたる事とて、さのみ知り顔にやは言ふ」
容貌の美しい人。美人
源氏(1001‐14頃)玉鬘「この姫君の御かたちとをなむ、よき人とはこれをいふにやあらむとおぼゆる」
③ 裕福な人。富貴な人。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)四「よき人は何国(いづく)にてもよし。いかに利発㒵しても手前のならぬ人の云事は、聞者なし」

りょう‐にん リャウ‥【良人】

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デジタル大辞泉 「良人」の意味・読み・例文・類語

りょう‐じん〔リヤウ‐〕【良人】

よい人。賢い人。
夫。
良民2」に同じ。
[類語]主人亭主旦那ハズバンドハズ夫君内の人宿六旦つく先夫前夫亡夫男鰥おとこやもめ寡夫

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普及版 字通 「良人」の読み・字形・画数・意味

【良人】りよう(りやう)じん

良士。また、夫。唐・李白〔子夜呉歌四首、三〕詩 何(いづ)れの日か、胡げて 良人、征を罷(や)めん

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