花押・華押(読み)かおう

精選版 日本国語大辞典 「花押・華押」の意味・読み・例文・類語

か‐おう クヮアフ【花押・華押】

〘名〙 平安中期以降にあらわれた署名。自己の名乗りを楷書体で書いた場合を自署草書体で書いた場合を草名(そうみょう・そうな)といい、草名がさらに判読できない程度に図案化されると花押と呼ばれる。その意匠によって公家様、武家様、二合体、一字体、別用体などと分類されることもある。判(はん)書判(かきはん)とも呼ばれる。押字(おうじ)。花押は本来自己の名乗りであるから、自署と花押を共に書くことは故実に反するが、鎌倉時代以降、「頼朝(花押)」のように並べて書くことも広く行なわれるようになった。
※書言字考節用集(1717)八「書判 カキハン 本名花押。又近世下加一文字形者謂之割符様
[語誌]中国では、文字を変体に崩すことを「押」といい、崩した形から「花」ともいっており、その字を、古く「花字」とも「押字」とも称したが、後に両方の表現を合わせて「花押」というようになった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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