花橘(読み)はなたちばな

精選版 日本国語大辞典 「花橘」の意味・読み・例文・類語

はな‐たちばな【花橘】

〘名〙
① 花の咲いている橘。橘の花。また、橘の花を賞していう語。《季・夏》
※古事記(712)中・歌謡「我が行く道の 香ぐはし 波那多知婆那(ハナタチバナ)は」
植物まんりょう(万両)」の異名。〔日本植物名彙(1884)〕
③ 植物「やぶこうじ(藪柑子)」の異名。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
④ 襲(かさね)色目の名。表は朽葉または白、裏は青。
※餝抄(1238頃)上「花橘、四五月晴着用之
⑤ 薫物の名。〔尺素往来(1439‐64)〕
⑥ (「盧橘」とも) 香木の名。分類は真那賀(まなか)。香味は苦酸甘。六十一種名香の一つ。
※建部隆勝香之筆記(香道秘伝所収)(1573)「花橘(ハナタチハナ)、聞まなかの上、焼出しはやくつよく出申候而やがて失申候」
紋所の名。橘の花の上方左右に、六個の小さな橘の花をつけた柄を対にした図案
近世、京都堀川丸太町上ルの坂田屋で醸造した酒の名。東福門院の命名という。
浮世草子好色一代男(1682)一「京よりもたせたる舞鶴花橘(ハナタチハナ)の樽の口を」

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デジタル大辞泉 「花橘」の意味・読み・例文・類語

はな‐たちばな【花×橘】

花の咲いている。橘の花。 夏》「駿河路や―も茶の匂ひ/芭蕉
かさねの色目の名。表は朽葉くちば、裏は青。
香の名。軽くやわらかで涼しい香をもつ。
紋所の名。柄のついた6個の小さな橘の花を向かい合わせ、その下に大きな橘の花を配したもの。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「花橘」の解説

花橘 (ハナタチバナ)

植物。ヤブコウジ科の常緑小低木,園芸植物,薬用植物ヤブコウジ別称

花橘 (ハナタチバナ)

植物。ヤブコウジ科の常緑小低木,園芸植物。マンリョウの別称

花橘 (ハナタチバナ)

植物。ミカン科の常緑低木,園芸植物。タチバナの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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