花背(読み)はなせ

日本歴史地名大系 「花背」の解説

花背
はなせ

鞍馬くらま村の北にあり、若狭街道の花背を越えた別所べつしよ大布施おおふせ八桝やます原地新田はらちしんでんの四ヵ村一帯の総称。明治二二年(一八八九)の町村制実施により合併し、花背峠にちなみ花背村と称す(京都府愛宕郡村志)

南部地域は、賀茂かも郷の北奥に属し、その他は丹波国桑田くわた郡内であったが、正保二年(一六四五)以前に一括して山城国に帰属したと伝える(同書)。平安時代には、弥勒信仰による北方浄土の地として知られ、花背峠を越えた福田ふくでん寺を中心とする通称大平おおひらたにには、多数の経塚が発見されている(→花背経塚群

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花背」の意味・わかりやすい解説

花背
はなせ

京都市北部、左京区の一地区。旧花背村。現在一般には住居表示その他「花脊」の表記が用いられる。かつての若狭(わかさ)街道鞍馬から当地を経て小浜(おばま)に向かった。四方山林に囲まれた山間僻地(へきち)であるが、大堰(おおい)川の支流の寺谷(てらだに)川に沿って集落が点在し、国道477号が通り、出町柳よりバスが通じる。寺谷川に臨む大悲山(だいひざん)(747メートル)には峰定寺(ぶじょうじ)があり、懸崖(けんがい)舞台造の本堂(国の重要文化財)は、1350年(正平5・観応1)に建立されたわが国最古の舞台造建築という。そのほか、山村都市交流の森、花背山の家など自然環境を生かした施設がある。

織田武雄

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花背」の意味・わかりやすい解説

花背
はなせ

京都市左京区の一地区。鞍馬から鞍馬街道を北へ向い,花背峠を越えた北側にある山村地帯で,大堰川の最上流域にあたる。旧村名。 1949年京都市に編入。主産業は林業。大悲山の山腹にある峰定 (ぶじょう) 寺は聖護院に属する修験宗の寺で,多くの行場がある。付近に花背スキー場がある。

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