朝日日本歴史人物事典 「芳村伊十郎(6代)」の解説
芳村伊十郎(6代)
生年:安政5.12.17(1859.1.20)
明治から昭和にかけての長唄唄方。はじめ駿河国(静岡県)藤枝で5代目富士田千蔵に学んだ。16歳で上京したのちは5代目芳村伊十郎の門弟となり,明治26(1893)年に師が芳村家の家元名である6代目伊三郎を継ぐと同時に6代目伊十郎を襲名する。大正11(1922)年には8代目伊三郎の名を譲られるが結局,伊十郎で通した。常に13代目杵屋六左衛門と5代目杵屋勘五郎と共に活動し,明治37年には「長唄音楽会」を組織した。「楠公」「鏡獅子」などの初演を勤め,名人として終生,歌舞伎座や帝国劇場などに出演,歌舞伎とともに歩んだ唄方であった。伊十郎の名跡は,昭和期の7代まで続いた。
(長葉子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報