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本宮に対する新宮,親神に対する御子神をいう。八幡宮における若宮八幡(仁徳天皇),春日社の春日若宮(天押雲根命)などがその代表的な例である。若宮をまつるに至った経緯を各地に残る若宮社の縁起類からうかがうと,巫女の託宣によるものが多い。若宮の成立の背後には神をまつる巫女と母子神信仰との深いかかわりが存在していた。また巫女の託宣により示された若宮は非業の死をとげたために人々に災いをもたらし,たたるものであった。このたたる霊魂を,より上位のかつ強力な神の統制下におくことによって,そのたたりを防ごうとしたところに若宮の成立した根拠があった。若宮八幡を仁徳天皇とする説明は,八幡神を応神天皇とする説の成立以後のもので,若宮のあらあらしいたたる神としての性格が忘れられ薄れてからのものである。また若宮の〈若〉は若い子どもの意にあわせて,正月の若水の例のような霊力をもつものという意味をもっていた。このような若宮をめぐる信仰の根底には母子神信仰,御子神信仰,それを支えた巫女の活動,非業の死をとげた者がたたりをなすと信じられた御霊信仰,また有力な神は人間の社会の有力者と同様にこれに従う従者としての眷属神,御子神を多くもつとする観念と,その観念をてこにみずからのまつる神の威力をひろめ,在地でそれまで信仰されていた神を下位に位置づけようと努力した神職集団の活動などが,複雑にからみあいながら存在していた。
執筆者:西垣 晴次
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…若一王子(にやくいちおうじ)ともいう。《長秋記》長承3年(1134)の記事で〈若宮(わかみや)〉とあるのが本来の呼称であろうが,平安末期の《梁塵秘抄》には〈若王子〉と見える。若王子は京都の白川の禅林寺の北に同じころ勧請され,〈白川熊野〉ともよばれたが,鎌倉・室町幕府からは所領を寄進され,京都郊外の花の名所でもあったし,全国の具足屋(甲冑の職人,商人)の信仰を集め,若王寺とも記された。…
…その場合,別宮は神領とともに本社で管理された。(3)そのほかに今宮,若宮など,さらに神幸祭の頓宮,お旅所,また旧社地に奉斎してある社のことを別宮と称しているように,幾種にか分類される。【鎌田 純一】。…
※「若宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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