茨木のり子(読み)イバラギノリコ

デジタル大辞泉 「茨木のり子」の意味・読み・例文・類語

いばらぎ‐のりこ【茨木のり子】

[1926~2006]詩人大阪の生まれ。本姓三浦。昭和22年(1947)ごろから詩作を始め、昭和28年(1953)川崎洋らと「かい」を創刊ヒューマニズムにあふれる詩風で知られる。代表作わたしが一番きれいだったとき」「りかからず」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「茨木のり子」の意味・わかりやすい解説

茨木のり子
いばらぎのりこ
(1926―2006)

詩人。長野県出身の父宮崎洪(ひろし)(1897―1963、医師)と山形県出身の母勝(かつ)の長女として、父の勤務地である大阪市に生まれ、京都府、愛知県に転居後、1943年(昭和18)に県立西尾高女を卒業し、上京して帝国女子薬学専門学校(現、東邦大学薬学部)に入学。在学中空襲と勤労動員を体験。1945年敗戦(第二次世界大戦)は都内の薬品工場(海軍)で迎えた。1946年同校卒業。戯曲に関心をもち山本安英(やすえ)との出会いもあったが、1947年の結婚(本姓三浦)前後に詩を書き始め『詩学』に投稿して認められ、1953年に川崎洋(ひろし)(1930―2004)と『櫂(かい)』を創刊。水尾比呂志(1930―2022)、谷川俊太郎大岡信(まこと)、吉野弘らが参加した。詩篇(へん)の代表作としては「根府川(ねぶかわ)の海」「わたしが一番きれいだったとき」「りゅうりぇんれんの物語」「総督府へ行ってくる」「倚(よ)りかからず」などがあげられ、戦後青春期に軍国主義から民主主義への移行期を通過した詩人としての、現実的あるいは社会的視野にたって、ヒューマニズムに支えられた批評性・記録性の鋭い詩風をもっていた。

 詩集は『対話』(1955)、『見えない配達夫』(1958)、『鎮魂歌』(1965)、『人名詩集』(1971)、『自分の感受性くらい』(1977)、『寸志』(1982)、『食卓に珈琲(コーヒー)の匂い流れ』(1992)、『倚りかからず』(1999)があり、詩集成としては『茨木のり子詩集』(現代詩文庫20・1969)などがあり、編訳詩集としては『韓国現代詩選』(1990)があり、ほかに評伝、エッセイ集がある。

[村田正夫]

『『見えない配達夫』(1958・飯塚書店)』『『鎮魂歌』(1965・思潮社)』『『茨木のり子詩集(現代詩文庫20)』(1969・思潮社)』『『自分の感受性くらい』(1977・花神社)』『『りゅうりぇんれんの物語』(1978・全国学校図書館協議会)』『『寸志』(1982・花神社)』『編訳『韓国現代詩選』(1990・花神社)』『『食卓に珈琲の匂い流れ』(1992・花神社)』『『倚りかからず』(1999・筑摩書房)』『『個人のたたかい――金子光晴の詩と真実』(1999・童話屋)』『『対話』(2001・童話屋)』『『茨木のり子集 言の葉』全3巻(2002・筑摩書房)』

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百科事典マイペディア 「茨木のり子」の意味・わかりやすい解説

茨木のり子【いばらぎのりこ】

詩人。本名三浦のり子。大阪府生れ。帝国女子薬学専門学校卒業。1953年川崎洋とともに同人雑誌《櫂》を創刊。ヒューマニズムに基づく批評精神を持ち,代表作〈わたしが一番きれいだったとき〉で戦時下の女性の青春を描いた。主著に詩集《対話》(1955年),《見えない配達夫》(1958年),《鎮魂歌》(1965年),《人名詩集》(1971年),《自分の感受性くらい》(1977年),《倚(よ)りかからず》(1999年),評伝《うたの心に生きた人々》(1967年),50歳ころからハングルを習得し,訳詩集《韓国現代詩選》(1990年)などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「茨木のり子」の解説

茨木のり子 いばらぎ-のりこ

1926-2006 昭和後期-平成時代の詩人。
大正15年6月12日生まれ。昭和23年ごろから詩作をはじめ,28年川崎洋と詩誌「櫂(かい)」を創刊。女性詩人としてはめずらしく,金子光晴に通じる反骨をひめた詩風。平成3年翻訳詩集「韓国現代詩選」で読売文学賞。平成18年2月17日死去。79歳。大阪出身。帝国女子薬専(現東邦大薬学部)卒。本名は三浦のり子。詩集に「対話」「見えない配達夫」「人名詩集」など。

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