茶瓶（読み）ちゃびん

精選版 日本国語大辞典

ちゃ‐びん【茶瓶】

〘名〙

① 湯をわかし、茶を煎(せん)じ出すのに用いる、つるのついた銅器。薬鑵(やかん)。

※浮世草子・日本新永代蔵（1713）一「銅の茶瓶(チャビン)をかけて」

② 薬罐(やかん)に代用する陶磁器。土瓶。

※浮世草子・俗つれづれ（1695）二「茶瓶(チャビン)に面々天目を手にふれ」 〔頌古聯珠通集〕

③ 江戸時代、武家の奥方、姫君などの貴人が、物見遊山で外出する時に、茶道具一式や弁当などを入れて持ち運んだ具。また、それを持った供の者。

※浮世草子・好色五人女（1686）二「重菓子入に焼飲(やきいひ)、そぎやうじ、茶瓶(チャビン)わするな」

④ 「ちゃびんまえがみ（茶瓶前髪）」の略。

※俳諧・和漢文操（1723）一・賦類・月見賦〈芭蕉〉「扇に茶瓶の若男あれば」

⑤ 「ちゃびんあたま（茶瓶頭）」の略。

※咄本・新板一口ばなし（1839）七「おやぢが沸かしてゐる茶びん」

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

ちゃ‐びん【茶瓶】

１ 茶を煎せんじ出すのに用いるやかん。また、その代用にする釜かまや土瓶。
２ 江戸時代、武家の奥方などが遊山に出るとき、茶弁当を入れて持ち運んだ具。また、それを携えて供をした男。
３ 「茶瓶前髪まえがみ」の略。
４ 「茶瓶頭」の略。

出典　小学館

普及版 字通

【茶瓶】ちやへい・さへい

茶びん。〔夢粱録、十六、茶肆〕伯街、自らを提げ、門にうてを點ずるり。

字通「茶」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の茶瓶の言及

【きゅうす(急須)】より

…煎茶器の一種。茶瓶，茶注などともいう。小型の土瓶ともいうべきもので，おもに陶磁器であるが金属製のものもある。…

【煎茶道】より

…白泥の素焼のものを最上とする。(3)茶瓶　茶器の中で最も重要視されており，古来もっとも珍重されているのは中国宜興窯の朱泥･紫泥製のものである。急須，茶銚とも呼ばれる。…

※「茶瓶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」