茶船(読み)ちゃぶね

精選版 日本国語大辞典 「茶船」の意味・読み・例文・類語

ちゃ‐ぶね【茶船】

〘名〙
港湾河川で停泊中または航行の船に飲食物を売る小船。にうりぶね。うろうろぶね。
※俳諧・俳諧三部抄(1677)上「豆腐豆腐雪さし下す茶舟哉〈金出地丸世〉」
近世江戸大坂など大港湾都市へ入港した大型廻船積荷を瀬取りして陸揚げする瀬取船および河川で荷物を運送する小船。大坂のものは十石積に規定されていたが、江戸では種類が多く、六五石積を基本とする品川の瀬取船のような大型から、ちょき船・葛西船・荷足船・釣船投網船などの小船に至るまでを含める。ただし狭義には、瀬取船をいい、その他はそれぞれの名で呼ぶことが多い。
仮名草子童蒙先習(1612)一〇「いそがはしき物 ちゃふねこぐ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「茶船」の意味・読み・例文・類語

ちゃ‐ぶね【茶船】

近世、江戸・大坂などの河川や港で大型廻船の貨物の運送に用いた小船。
河川や港で飲食物を売る小船。うろうろ船。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「茶船」の意味・わかりやすい解説

茶船
ちゃぶね

(1) 港湾に停泊する廻船や河川を航行する船の乗組員,乗客を相手に飲食物を売る小船。俗にうろうろ船。特に江戸時代の淀川のくらわんか船は有名である。 (2) 猪牙船 (ちょきぶね) や荷足船 (にたりぶね) に代表されるような小人数の客や小荷物を運送する小船。 (3) 投網,ざこ,貝類とりなどの磯漁に使う小船。 (4) 利根川筋では,薪炭木材米穀などを運送した中型の荷船のことで,同じ川筋の高瀬船や平田船よりも小型なのが特徴。 (5) 港湾にあって沖がかりしている廻船と陸岸との間を往復して荷物を運送する船で,瀬取船,上荷船と同様のもの。江戸時代,大坂では 10石積みの小船だったが,江戸ではかなりの大型船だったように,ところにより船型,構造,大きさとも異なり,一定していない。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「茶船」の読み・字形・画数・意味

【茶船】ちやせん

茶托

字通「茶」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

青天の霹靂

《陸游「九月四日鶏未鳴起作」から。晴れ渡った空に突然起こる雷の意》急に起きる変動・大事件。また、突然うけた衝撃。[補説]「晴天の霹靂」と書くのは誤り。[類語]突発的・発作的・反射的・突然・ひょっこり・...

青天の霹靂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android