草紙洗(読み)そうしあらい

改訂新版 世界大百科事典 「草紙洗」の意味・わかりやすい解説

草紙洗 (そうしあらい)

能の曲名流派により《草紙(子)洗小町》とも称する。三番目物鬘物(かつらもの)。作者不明。シテ小野小町宮中歌合で小野小町の相手と決まった大伴黒主(ワキ)は,前日小町の邸に忍び込んで,小町が和歌を詠じているのを盗み聞きする。当日は,紀貫之,凡河内躬恒,壬生忠岑ツレ)らが列席して勝負が始まる。小町の歌は帝(子方)から絶賛されるが,黒主が古歌だと訴え,証拠に《万葉集》の草紙を突き付けるので,小町は窮地に立つ。だがよく見ると墨色がおかしいので,勅許を得て水を入念に注ぎ掛けると,はたして入れ筆で,文字は消えて流れる(〈ロンギ〉)。面目を失った黒主は自害をはかるが,小町の取りなしで事なく済み,人々の勧めで小町が和解を祝う舞(〈中ノ舞(ちゆうのまい)〉)を舞い,めでたく席が閉じられる。洗い物尽しのロンギと,終りの中ノ舞が中心だが,黒主の訴えをめぐる論争もおもしろく描かれる。王朝絵巻風な能である。
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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「草紙洗」の解説

草紙洗
(通称)
そうしあらい

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
草紙洗小町
初演
享保3.11(大坂・嵐座)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「草紙洗」の解説

草紙洗 (ソウシアライ)

植物ツバキ科のヤブツバキ系の園芸品種

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世界大百科事典(旧版)内の草紙洗の言及

【乱拍子】より

…足遣いを主とした特殊な舞事で,《道成寺》の白拍子(前ジテ)のみに用いる。古くは金春(こんぱる)流の《道成寺》,観世流《檜垣(ひがき)》の老白拍子,宝生流《草紙洗》の小野小町,金剛流《住吉詣》の御随身と4流それぞれにあったが,江戸時代以降は各流とも《道成寺》のみで舞われる。囃子は小鼓だけで奏する(笛がところどころでアシラウ)のが特徴で,小鼓方はやや右を向きシテに対する。…

※「草紙洗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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