荒木如元(読み)あらきじょげん

改訂新版 世界大百科事典 「荒木如元」の意味・わかりやすい解説

荒木如元 (あらきじょげん)
生没年:1765-1824(明和2-文政7)

江戸後期の長崎洋風画家。もと一瀬氏で,唐絵目利(からえめきき)職の荒木元融(1728-94)に絵を学び,その養子となって元融の職をついだが,短期間で辞職し,再び一瀬氏にもどった。洋風画は長崎系洋風画の先駆若杉五十八から学んだものと想像される。輸入銅版画を参考として,本格的な麻布油彩西洋風俗図を描き,江戸時代後期の洋風画家の中では最も西洋画に近い作品をのこした。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒木如元」の意味・わかりやすい解説

荒木如元
あらきじょげん
(1765―1824)

江戸後期の長崎の洋風画家。もと一瀬(いちのせ)氏。通称善十郎、のち善四郎。如元と号した。唐絵目利(からえめきき)職荒木元融(げんゆう)に絵を学び、その養子となって元融の職を継いだが、まもなく辞し、一瀬氏に戻った。彼はおそらく洋風画家若杉五十八(いそはち)に学んだと思われ、西洋から渡来した銅版筆彩の風俗画などを参考に、当時としては本格的な麻布(まふ)油彩の西洋風俗図を描いた。

成瀬不二雄]

『成瀬不二雄著『江戸の洋風画』(1977・小学館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荒木如元」の意味・わかりやすい解説

荒木如元
あらきじょげん

[生]明和2(1765)
[没]文政7(1824).閏8.5. 長崎
江戸時代後期の長崎派画家。本姓一之瀬,通称善十郎,字は直忠。荒木元融の養子となり唐絵目利 (からえめきき) 職を継ぐ。絵は義父や在留オランダ人に学び,また若杉五十八の感化を受け本格的洋画技法修得。主要作品『港之図』 (1805) ,『瀕海都城之図』『蘭船入津図』。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「荒木如元」の解説

荒木如元 あらき-じょげん

1765-1824 江戸時代後期の画家。
明和2年生まれ。長崎の人。唐絵目利(からえめきき)の荒木元融(げんゆう)の養子となる。南蛮画の技法をまなび,若杉五十八(いそはち)とともに代表的洋風画家といわれた。文政7年閏(うるう)8月5日死去。60歳。本姓は一瀬。名は直忠。通称は善十郎,善四郎。代表作に「蘭人鷹狩図」「瀕海都城図」など。

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