莫目(読み)マクモ

デジタル大辞泉 「莫目」の意味・読み・例文・類語

まく‐も【×目/××牟】

古代管楽器の一。高麗楽こまがく百済楽くだらがくに用いられたが、実体未詳篳篥ひちりき一種ともいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「莫目」の意味・わかりやすい解説

莫目
まくも

高句麗百済の管楽器の一種。「莫牟」とも書く。日本に伝来した百済楽高麗 (こま) 楽の楽器に莫目の名が記録されていたが,平安時代に入ってからまったく使用されなくなったため,その正確な形は未詳。『和名類聚抄』では,「管籥 (かんやく) 」の類に入っているから気鳴楽器に違いないと思われる。今日の韓国雅楽で使用されている郷篳篥の祖形とも推測できる。

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世界大百科事典(旧版)内の莫目の言及

【三韓楽】より

…いずれにせよ《日本書紀》は,683年(天武12)に高麗・百済・新羅3国の楽を庭中に奏したと伝えており,それまでに三国楽のすべてが伝えられていたと推定される。楽器は,百済楽は6孔の横笛,箜篌(くご)(百済琴),莫目(まくも)(莫牟とも書く。気鳴楽器であったと思われるが詳細は不明)の3種,新羅楽は新羅琴(伽倻琴),また高麗楽は箜篌(百済楽の竪箜篌と異なり臥箜篌)であることが文献や正倉院の遺品によって知られるが,詳細については不明である。…

【朝鮮音楽】より

…高句麗の音楽は,中国隋の七部伎の第3番目に高麗伎としてとり入れられたが,それは14種の楽器を使用した舞楽であったという。高句麗の楽舞は高麗楽(こまがく)という名で日本にも伝えられ,箜篌(くご),横笛,莫目(まくも)(おそらく管楽器の一種。現存しない)を使用し,百済楽,新羅楽と合わせて三韓楽と呼ばれた。…

※「莫目」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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