菅沼貞風(読み)スガヌマテイフウ

デジタル大辞泉 「菅沼貞風」の意味・読み・例文・類語

すがぬま‐ていふう【菅沼貞風】

[1865~1889]経済史学者。長崎の生まれ。18歳で「平戸貿易志」を書いて認められ、のち「大日本商業史」を執筆、経済史学の先駆者となった。南洋諸島調査中、マニラ客死

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「菅沼貞風」の意味・読み・例文・類語

すがぬま‐ていふう【菅沼貞風】

(「ただかぜ」とも) 歴史家肥前平戸(長崎県出身。明治一六年(一八八三)に「平戸貿易志」を書いて認められ、翌年東京大学に入学。同二二年移民に関する調査のため福本日南とともにフィリピンに渡り、同年七月マニラで客死。著に「大日本商業史」「新日本図南の夢」など。慶応元~明治二二年(一八六五‐八九

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「菅沼貞風」の意味・わかりやすい解説

菅沼貞風 (すがぬまていふう)
生没年:1865-89(慶応1-明治22)

経済史家。肥前国(長崎県)平戸生れ。北松浦郡役所に在職中,大蔵省関税局の貿易沿革史編纂に伴う平戸貿易史料の収集整理に従事,これを機に独学で《平戸貿易志》を著した。旧藩主の認めるところとなり,その後援で東京大学に入学。1888年大著《大日本商業史》を書いて卒業,ただちに高等商業学校(現,一橋大学)に迎えられた。この間,貿易・商業研究から日本の南洋進出の必要を痛感するに至った。89年南洋研究調査のためフィリピンのマニラに渡った。しかしコレラにかかり客死。南進論の先駆者とも評される。《平戸貿易志》《大日本商業史》は死後の92年に刊行された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「菅沼貞風」の意味・わかりやすい解説

菅沼貞風【すがぬまていふう】

明治の経済史家。肥前(ひぜん)平戸(ひらど)の生れ。旧藩主松浦氏の信を得て北松浦(きたまつうら)郡役所に勤務しながら大蔵省関税局の貿易沿革史編集の資料調査に当たり,《平戸貿易志》を著した。のち東大に学び,高等商業(現一橋大学)に奉職。南洋諸島調査のためマニラに行き客死。南進論の先駆者ともいわれる。他に著書《大日本商業史》《新日本の図南の夢》がある。
→関連項目福本日南

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

朝日日本歴史人物事典 「菅沼貞風」の解説

菅沼貞風

没年:明治22.7.6(1889)
生年:慶応1.3.10(1865.4.6)
明治前期の南洋貿易史学者。肥前国松浦郡平戸(長崎県平戸市)に生まれる。東京大学古典講習科(漢書科)卒業。大蔵省関税局の委嘱により,平戸における南蛮貿易史料の調査に従った経験から,大学の卒業論文に古代からの外交・貿易史の研究を選んで,この分野の先駆的業績をあげた。雄図があり,南洋植民思想を普及し,フィリピンに実践しようと企図してマニラに渡航したが,客死した。わずかに25歳であった。漢詩をよくした。<著作>『大日本商業史』『平戸貿易志』<参考文献>江口礼四郎『菅沼貞風伝』,木村毅『南の真珠』

(秋元信英)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菅沼貞風」の意味・わかりやすい解説

菅沼貞風
すがぬまていふう

[生]慶応1(1865).3.10. 平戸
[没]1889.7.6. マニラ
明治期の経済史学者。幼名貞一郎。平戸の猶興書院に学び,松浦郡役所に勤め,1883年大蔵省関税局の委嘱で『平戸貿易志』を著わす。翌年上京して東京大学に入学,88年卒業論文『大日本商業史』を執筆,卒業後東京高等商業学校 (現一橋大学) に就職した。日本の南方発展を唱道し,研究のため翌 89年マニラにおもむいたが,発病して客死。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「菅沼貞風」の解説

菅沼貞風 すがぬま-ていふう

1865-1889 明治時代の経済史家。
元治(げんじ)2年3月10日生まれ。肥前平戸(長崎県)の人。郡役所在職中に「平戸貿易志」を編修。のち帝国大学で中村正直,三島中洲にまなぶ。明治22年福本日南と南洋調査に出発したが,同年7月6日マニラで客死。25歳。遺著に「大日本商業史」がある。初名は貞一郎。字(あざな)は伯狂。号は桃水学人。名は「さだかぜ」ともよむ。

菅沼貞風 すがぬま-さだかぜ

すがぬま-ていふう

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android