菊岡検校(読み)きくおかけんぎょう

精選版 日本国語大辞典 「菊岡検校」の意味・読み・例文・類語

きくおか‐けんぎょう【菊岡検校】

江戸後期の地歌演奏家作曲家。京都の人。上方唄名人。「茶音頭」「夕顔」「磯千鳥」「楫枕(かじまくら)」「芥子(けし)の花」など多数作曲。寛政四~弘化四年(一七九二‐一八四七

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デジタル大辞泉 「菊岡検校」の意味・読み・例文・類語

きくおか‐けんぎょう〔キクをかケンゲウ〕【菊岡検校】

[1792ころ~1847]江戸後期の地歌作曲家・演奏家。京都の人。一山いちざん検校に師事し、多く名曲を残した。作「茶音頭」「夕顔」「磯千鳥」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「菊岡検校」の意味・わかりやすい解説

菊岡検校 (きくおかけんぎょう)
生没年:1792-1847(寛政4-弘化4)

盲人の地歌箏曲家。都名(いちな)は楚明一(そめいち)。城和とも。一山検校のもとで1806年(文化3)に検校登官。〈京風手事物〉の三弦作曲家として有名で,その多くは,八重崎検校により箏の手がつけられている。菊岡・八重崎作品に,《磯千鳥》《今小町》《楫枕(かじまくら)》《笹の露》《茶音頭》《長等(ながら)の春》《御山(みやま)獅子》《夕顔》などがあり,その他,《ままの川》(2世松崎検校の箏)など,いずれもしばしば上演される名曲である。
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百科事典マイペディア 「菊岡検校」の意味・わかりやすい解説

菊岡検校【きくおかけんぎょう】

地歌・箏曲家。1806年検校となる。名は楚明一(そめいち)。文化・文政・天保期に京都で活躍。とくに三弦の名手とて知られ,その作品の多くに八重崎検校が箏の手を付けたことから,三弦と箏の合奏妙技眼目とする京風手事物全盛期を導いた。作品には《茶音頭》《夕顔》《御山獅子(みやまじし)》《ままの川》《笹の露》《磯千鳥》など名曲が多い。
→関連項目竹生島

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菊岡検校」の意味・わかりやすい解説

菊岡検校
きくおかけんぎょう

[生]寛政4(1792)
[没]弘化4(1847).11.12. 京都
江戸時代後期の京都の盲人音楽家。地歌演奏家,作曲家。都名 (いちな) は楚明一 (そめいち) 。一説に城和ともいう。文化3 (1806) 年,一山検校を師として検校に登官。松浦検校に続いて,京物の地歌三弦曲の名作を作曲,その多くは八重崎検校により箏の旋律が作曲され,両者の合奏は名演奏であったと伝えられる。代表作『磯千鳥』『楫枕』『けしの花』『笹の露』『茶音頭』『長等の春』『ままの川』『御山 (みやま) 獅子』『夕顔』など。

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朝日日本歴史人物事典 「菊岡検校」の解説

菊岡検校

没年:弘化4.11.12(1847.12.19)
生年:寛政4(1792)
江戸後期の京都の地歌箏曲家。名は楚明一。文化3(1806)年,検校になる。京風手事物の地歌三弦曲を多く作曲した。作品に「磯千鳥」「今小町」「梅の宿」「楫枕」「桂男」「笹の露(酒)」「園の秋」「竹生島」「茶音頭」「長等の春」「舟の夢」「ままの川」「御山獅子」「夕顔」など。このうち「ままの川」は松野検校,その他は八重崎検校によって箏の手に移され,合奏曲として今日でもよく演奏される。当初は不仲であった菊岡と八重崎が,「玉川」の合奏を通じて互いの技量を認め合い,京風手事物の名コンビとして知られることになったという逸話が伝えられている。

(野川美穂子)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菊岡検校」の意味・わかりやすい解説

菊岡検校
きくおかけんぎょう
(1792―1847)

地歌の演奏家、作曲家。都名(いちな)(盲人としての公儀名)は楚明一(そめいち)。1806年(文化3)一山(いちざん)検校を師として15歳で検校となった。「京物」の地歌三絃(さんげん)曲(ほとんどが手事物(てごともの))を多数つくり、現行する名曲が多い。そのほとんどが八重崎(やえざき)検校によって替手式の箏(こと)の旋律が作曲され、2人の合奏が名演であったことを物語る逸話も多く伝わる。代表作に『茶音頭』『磯(いそ)千鳥』『笹(ささ)の露』『楫枕(かじまくら)』『梅の宿』『御山獅子(みやまじし)』などがある。

[平山けい子]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「菊岡検校」の解説

菊岡検校 きくおかけんぎょう

1792-1847 江戸時代後期の地歌作曲家・演奏家。
寛政4年生まれ。15歳で検校となる。京風手事物の地歌三味線曲を作曲。そのおおくに八重崎検校が箏(こと)の旋律をつけて両者で合奏,評判をよんだ。弘化(こうか)4年11月12日死去。56歳。京都出身。名は楚明一(そめいち)。作品に「磯千鳥(いそちどり)」「茶音頭」「今小町」「楫枕(かじまくら)」「夕顔」など。

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世界大百科事典(旧版)内の菊岡検校の言及

【楫枕】より

…地歌箏曲の曲名。三弦は菊岡検校,箏は八重崎検校作曲の京風手事物。文政・天保期の作。…

【笹の露】より

…《酒》とも。三弦は菊岡検校(1792‐1847),箏は八重崎検校(1776?‐1848)が作曲した京風手事物。島田両三作詞。…

【竹生島】より

…【横道 万里雄】(2)地歌 二上り端歌物。菊岡検校作曲,八重崎検校箏手付。竹生島の縁起を歌ったもので,最初に大阪の四天王寺から竹生島にいたる道行がつく。…

【茶音頭】より

…《茶の湯音頭》とも。三弦は菊岡検校,箏は八重崎検校作曲の京風手事物。ただし現行の箏の手は流派や地域によって異なる。…

【ままの川】より

…地歌・箏曲の曲名。三味線は菊岡検校(1792‐1847),箏は松野検校(1834年登官)作曲による京風手事物。作詞は宮腰夢蝶で,夢蝶の名をよみ込んで,成行きまかせの遊女の恋を歌っている。…

【御山獅子】より

…地歌・箏曲の曲名。菊岡検校作曲,八重崎検校箏手付。京風手事物の獅子物の代表曲。…

【夕顔】より

…【横道 万里雄】(2)地歌・箏曲の曲名。三弦は菊岡検校(1792‐1847),箏は八重崎検校(1776?‐1848)作曲の京風手事物。1814年(文化11)版《新大成糸の節》に初出。…

※「菊岡検校」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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