菖蒲革(読み)しょうぶかわ

精選版 日本国語大辞典 「菖蒲革」の意味・読み・例文・類語

しょうぶ‐かわ シャウブかは【菖蒲革】

〘名〙
① 小文(こもん)藍革(あいがわ)の一種。地を藍で染め、草花文様をところどころに白くおいた鹿のかわ。後には鱗形などの模様も用いた。京都の八幡染革が著名であり、菖蒲の文様と解して尚武に寄せて多く武器に用いる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
譬喩尽(1786)七「菖蒲革(シャウブガハ)とて鱗形(うろこがた)の模様染付しをいへり」
布地に菖蒲の模様などを染めたもの。江戸時代足軽などの袴地に用いた。
洒落本・卯地臭意(1783)「しゃうぶかわの羽織きたるあしがるの二人づれ」
③ (②の服装をしているところから) 江戸時代、足軽・見付番・若党等の異称
※雑俳・川柳評万句合‐安永四(1775)智八「せうぶかわ四つ手のたれを上げおろう」
④ (③から転じて) 人の悪い、下等な者をののしる語。
※洒落本・美地の蛎殻(1779)「もうおめへ程、しゃうぶ革(カワ)ならいいわな。是は芝居申上ますと、花道から出る役者は、人の悪き通言也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「菖蒲革」の意味・読み・例文・類語

しょうぶ‐がわ〔シヤウブがは〕【××蒲革】

《「しょうぶかわ」とも》
型染め藍革の一。地を藍で染め、ショウブの葉や花の文様を白く染め抜いたシカなめし革。「菖蒲」の音が「尚武」に通じるところから、多く武具に用いた。
1に似せて染めた布地。下級武士の袴地はかまじなどに用いた。
江戸時代、足軽見付番・若党などのこと。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android