菜飯(読み)ナメシ

デジタル大辞泉 「菜飯」の意味・読み・例文・類語

な‐めし【菜飯】

刻んだ青菜を炊き込んだ飯。また、さっと湯に通して塩を加えた青菜をまぜた飯。 春》さみどりの―が出来てかぐはしや/虚子

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精選版 日本国語大辞典 「菜飯」の意味・読み・例文・類語

さい‐ばん【菜飯】

〘名〙
① 飯の上に、かやくを置いたもの。
※礼容筆粋(1717)七「さいはんとは、めしにかやくを置てくふもの也」
東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉二「喰客の多少は則ち菜飯の多少より生ず」

な‐めし【菜飯】

〘名〙 油菜、蕪(かぶ)大根などの葉を茹(ゆ)でて細かに刻んだものを、塩味をつけてたいた飯に混ぜたもの。なはん。ないい。《季・冬‐春》
※鈴鹿家記‐応永元年(1394)一二月一〇日「御本所御内容夜に入り菜飯呼びに参り、両人参る」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菜飯」の意味・わかりやすい解説

菜飯
なめし

青菜を刻み、ご飯に炊き込んだもの。ダイコンカブキョウナなどの青葉だけを用いるものと、数種の青菜を混ぜて入れるものがある。『本朝食鑑』(1695)には「その味甘美にして香よく気をおだやかにし胸を寛(くつろ)げ食気を停滞せしめず」とある。各地に名物菜飯があり、これは田楽(でんがく)とともに供することが多い。滋賀県目川(めがわ)(栗東(りっとう)市)の菜飯田楽は江戸後期からの名物で、蜀山人(しょくさんじん)は『改元紀行』のなかに菜飯を試みたことを記している。愛知県豊橋(とよはし)市の菜飯は著名である。

多田鉄之助

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日本の郷土料理がわかる辞典 「菜飯」の解説

せえふぁん【菜飯】


沖縄郷土料理で汁かけ飯の一種。煮含めたにんじんとしいたけ、青菜、薄焼き卵などを飯にのせ、豚肉やかつおぶしでとっただし汁しょうゆ・砂糖・しょうが汁などで調味した汁をかけて食べる。宴席料理の最後に供される。◇「セーファン」とカタカナで書くことが多い。

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「菜飯」の解説

なめし【菜飯】

青菜を刻んで調味し、飯に混ぜ合わせた料理。大根・かぶなどの葉を用いる。◇田楽豆腐と大根の葉の菜飯を取り合わせた「菜飯田楽」は、江戸時代から東海道吉田宿(現愛知県豊橋市)の名物料理として知られる。

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デジタル大辞泉プラス 「菜飯」の解説

菜飯(せーふぁん)

沖縄県の郷土料理。ご飯の上に、茹でて千切りにしたニンジン、タケノコ、干ししいたけ、カラシナと金糸卵をのせ、カツオや鶏のだしで作った熱いかけ汁をかけて食する。

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普及版 字通 「菜飯」の読み・字形・画数・意味

【菜飯】さいはん

まぜ飯。

字通「菜」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の菜飯の言及

【飯】より

…関西でかやく飯と呼ぶのは,ゴボウ,ニンジン,シイタケ,油揚げなどの具を加薬(かやく)(薬味)として炊き込み,あるいは混ぜたものをいうが,この〈かやく〉ももともとは助けるものの意味の〈加役〉で,増量材の意ともされる。江戸時代,東海道目川(めがわ)宿(現,滋賀県栗太郡栗東町)の名物として知られた菜飯は,カブやダイコンの葉をゆでて刻み,塩味をつけて飯に混ぜたもので,奈良茶と呼ばれた茶飯とともに広く普及したものであった。たけのこ飯,クリ飯,マツタケ飯,五目飯,あるいは芳飯(ほうはん)なども,すべてこうした変り飯である。…

※「菜飯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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