菟原処女・菟名日処女(読み)うないおとめ

精選版 日本国語大辞典 「菟原処女・菟名日処女」の意味・読み・例文・類語

うない‐おとめ うなひをとめ【菟原処女・菟名日処女】

争い伝説の女主人公。菟原壮子(うないおとこ)、血沼壮子(ちぬおとこ)の二人の男性に求婚され、どちらとも決めかねて川に身を投げる。
[語誌](1)この伝説は「万葉集」の多くの歌に詠まれ、「うなひ」は「菟原」「葦屋」とともに地名と見られる。また、もと海辺の意であった「うなひ」が「海原」となり、更に転じて「菟原」となったとする説がある。
(2)「大和‐一四七」では、津の国の生田川のほとりに住む女を、同国のうばらという姓の男と和泉国のちぬという姓の男とが争い、女は生田川に身を投げて死んだと伝えている。また、「謡曲求塚」では、生田川に身を投げた女が、後追いした二人の男の科まで身に受けて、地獄での苦しみを永遠に続けているとしている。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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