華厳寺(大韓民国)(読み)けごんじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「華厳寺(大韓民国)」の意味・わかりやすい解説

華厳寺(大韓民国)
けごんじ

韓国(大韓民国)、全羅南道(ぜんらなんどう/チョルラナムド)求礼(くれ)郡馬山面にある寺。智異山(ちいさん)中にあり、智異山華厳寺と号する。新羅(しらぎ)の544年(真興王5)インド僧の縁起(えんぎ)が3000人の学侶(がくりょ)を率いてこの山へ入り開創したと伝える。のち、新羅の643年(善徳女王12)慈蔵(じぞう)律師が唐から帰国してこの山へ入り、華厳学が一山の教学の中心となった。元暁(がんぎょう)は海会堂を開創して華厳を講じ、また義湘(ぎしょう)も海蔵殿で経典を講じ、華厳求法(ぐほう)十大刹(さつ)の一といわれた。新羅末期から高麗(こうらい)(918~1392)初期にかけて禅僧道詵(どうせん)が大いに堂宇をおこし、智異山中に大伽藍(がらん)を連ねたが、壬辰(じんしん)の乱(1592~96、豊臣(とよとみ)秀吉の朝鮮侵略)で焼失した。のち、浮休(ふきゅう)禅師の嗣(し)である碧巌(へきがん)禅師覚性(かくしょう)が無梁(むりょう)、中観(ちゅうがん)らと入って再建し、伝統の華厳学と禅をあわせた、いわゆる禅教の大寺院となって重きをなした。

[里道徳雄]

『韓国佛教研究院著『華厳寺』(1976・一志社)』

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