萩岡松韻(1世)(読み)はぎおかしょういん[いっせい]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「萩岡松韻(1世)」の意味・わかりやすい解説

萩岡松韻(1世)
はぎおかしょういん[いっせい]

[生]文久4 (1864).2.10. 江戸
[没]1936.1.27. 東京
山田流箏曲家。本名萩原伊之助,のちに源意と改める。幼時に失明し,最初紀州藩(和歌山藩)との縁により伊勢松坂の生田流の大松検校に入門し,明治4(1871)年に勾当となるが,京都に萩原検校がいたので,萩岡を名のる。師匠の死去により山勢検校門下の馬場美勢に山田流箏曲を学ぶ。美勢が同地を去ったため 9歳から 2年間生田流の三津田千代につく。1874年東京で 3世山勢松韻の門に入る。1885年萩岡松柯(しょうか)の芸名を授けられた。師の没後 1910年松韻と改めた。弟弟子の今井慶松の箏の技に対し,美声に恵まれ歌に優れていた。1911年,長らく助手を務めていた東京盲学校(のち筑波大学附属視覚特別支援学校)の教諭となり,1913年11月高等官(三等),1931年勅任待遇となる。『俊寛』『紀念の鷹の羽(かたみのたかのは)』『鞆の音』などの作品がある。東京盲学校に学んだ門下から久本玄智,斎藤松声,山川園松らが出た。

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