萩藩閥閲録(読み)はぎはんばつえつろく

日本歴史地名大系 「萩藩閥閲録」の解説

萩藩閥閲録(閥閲録)
はぎはんばつえつろく

一七〇巻二〇四冊 永田政純

成立 享保一〇年

原本 山口県文書

解説 永田政純が享保五年長州萩藩藩主毛利吉元の命を受けて毛利元就の伝記編纂のため、萩藩内の諸家所蔵の古文書系譜を編纂したもの。毛利一門・永代家老・寄組・大組・医師・絵師・御手大工・細工人などのほか、足軽・中間、さらに町人百姓・陪臣・寺社など総計一千一二四家の所蔵文書を家別に編集している。毛利元就発給文書など戦国時代の文書を中心に、鎌倉・南北朝・室町、江戸時代中期のものまでが含まれるが、他家・他藩のもので元就の伝記作成上不要なものは収録しなかった。その後、元文―天保年間に毛利家一門六家、永代家老益田・福原両家、寄組・大組以下細工人に至る家臣の系譜・正統略譜・伝来文書など二千五九五家分二千八五五冊を編纂し、「萩藩譜録」とした。さらに天保―文久年間に閥閲録に収録漏れの諸士以下農商家の文書を調査し、二二七家分一五冊を編纂し、「閥閲録遺漏」とした。

活字本 山口県文書館編「萩藩閥閲録」全五巻(閥閲録遺漏を含む)別巻「家わけ文書目録」。なお「譜録」は未刊

萩藩閥閲録(閥閲録)
はぎはんばつえつろく

一七〇巻二〇四冊 永田政純編

成立 享保一〇年

原本 山口県文書館

解説 永田政純が享保五年藩主毛利吉元の命を受けて毛利元就の伝記編纂のため、萩藩内の諸家所蔵の古文書・系譜を編纂したもの。毛利一門・永代家老・寄組・大組・医師・絵師・御手大工・細工人などのほか、足軽・中間、さらに町人・百姓・陪臣・寺社など総計一千一二四家の所蔵文書を家別に編集している。毛利元就発給文書など戦国時代の文書を中心に鎌倉・南北朝・室町、江戸時代中期のものまでが含まれるが、他家・他藩のもので元就の伝記作成上不要なものは収録しなかった。その後、元文―天保年間に毛利家一門六家、永代家老益田・福原両家、寄組・大組以下細工人に至る家臣の系譜・正統略譜・伝来文書など二千五九五家分二千八五五冊を編纂し、「萩藩譜録」とした。さらに天保―文久年間に閥閲録に収録漏れの諸士以下農商家の文書を調査し、二二七家分一五冊を編纂し、「閥閲録遺漏」とした。

活字本 山口県文書館編「萩藩閥閲録」全五巻(閥閲録遺漏を含む)・別巻「家わけ文書目録」、なお「譜録」は未刊。

萩藩閥閲録
はぎはんばつえつろく

一七〇巻二〇四冊 永田政純編

成立 享保一〇年

原本 山口県文書館

解説 享保五年長門萩藩藩主毛利吉元の命を受けた永田政純が、毛利元就の伝記編纂のため萩藩内の諸家所蔵の古文書・系譜類を編纂したもの。毛利一門・永代家老・寄組・足軽・中間、さらに町人・百姓・寺社など総計一千二四家の所蔵文書を家別に編集。毛利元就発給文書など戦国時代の文書を中心に、鎌倉・南北朝・室町―江戸時代中期のものまでが含まれる。

活字本 山口県文書館編「萩藩閥閲録」全五巻(「閥閲録遺漏」を含む)・別巻「家わけ文書目録」

萩藩閥閲録
はぎはんばつえつろく

二〇四冊 永田政純編

成立 享保一〇年

原本 山口県文書館

解説 享保五年、毛利吉元の命により永田政純が毛利氏家譜・家臣伝来の古文書・家系を調査編集したもので、二〇四冊ある。その後も家臣譜録の完備に努め「譜録」とよばれる二千六〇〇家余の家系図・伝書・古文書を収集。幕末期には「閥閲録遺漏」として収録もれの諸士以下寺社・農商家、一五冊二二七家分が編纂された。このうち「閥閲録」四巻・「閥閲録遺漏」一巻の合わせて一千三五一家分が復刻される。

活字本 昭和四二―四六年刊

萩藩閥閲録(閥閲録)
はぎはんばつえつろく

二〇四巻 永田政純編

成立 享保一〇年 昭和四二―四六年刊

原本 山口県文書館

解説 永田政純が藩命を奉じて毛利氏一門六家・永代家老両家・寄組士・大組その他の諸士八五一家のほか、足軽中間以下五五家、陪臣四一家、萩城下および諸郡の農商家一七七家、総計一千一二四家の文書を家別に監査編修した。その後藩府は幕末期に収録もれの諸士以下農商家の文書を調査し、二二七家分を一五巻に編冊し「閥閲録遺漏」と題した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「萩藩閥閲録」の意味・わかりやすい解説

萩藩閥閲録
はぎはんばつえつろく

萩(長州)藩で編纂(へんさん)した系譜・古文書集。同藩の永田政純(ながたまさずみ)が1720年(享保5)から26年にかけて編纂した。170巻、目録1巻。ほかに、幕末期、収録に漏れた文書を集めた『萩藩閥閲録遺漏(いろう)』5巻15冊がある。同藩では1665年(寛文5)に杉岡就房(なりふさ)が編纂した文書集『諸家証文写』があったが、5代藩主毛利吉元(よしもと)の時期に至って、領内全体を対象とした文書・系譜の編纂気運が高まり、毛利氏の一門以下諸士、帰農した旧家、商家に伝来した、中世から近世に至る文書の編纂が行われた。編者の永田は歴史学者として名高く、各文書に厳密な考証を加え、「閥閲録」としてこれらを編集した。集録文書は、戦国期から近世初頭に集中し、戦国大名毛利氏の近世大名への発展過程を研究するうえで貴重な文書が多い。県立山口図書館のほか、写本は東京大学史料編纂所などに架蔵されている。1967~71年(昭和42~46)に5巻(遺漏1巻を含む)にまとめて刊行され、79年に復刻された。

[長谷川成一]

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改訂新版 世界大百科事典 「萩藩閥閲録」の意味・わかりやすい解説

萩藩閥閲録 (はぎはんばつえつろく)

長州藩主毛利吉元が永田瀬兵衛政純に命じて,藩内諸家所蔵の古文書・系譜を編纂させたもの。1720年(享保5)に着手し,6年後に首巻と本文204冊が完成。《寺社証文》は同書の別編である。家臣所蔵文書はもちろん農・商の旧家伝来文書を含んでいる。芸備防長4ヵ国を中心として中国・北九州地方の戦国~近世初期の動向を知る貴重な史料。山口県文書館が5巻にまとめて刊行した。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「萩藩閥閲録」の意味・わかりやすい解説

萩藩閥閲録【はぎはんばつえつろく】

萩藩主毛利吉元(もうりよしもと)が家臣永田政純(ながたまさずみ)に命じて藩内諸家所蔵の古文書・系譜を編纂させた史料集。170巻204冊。1720年に着手され,1725年に成立。戦国期の文書が中心で,家臣所蔵文書はもちろん,農商家伝来の文書まで総計1124家の文書を家別に編集している。芸備防長4ヵ国を中心に,中国・北九州地方の戦国時代から近世初期の動向を知るうえで貴重。山口県文書館が5冊にまとめ刊行し,別巻として〈家分け文書目録〉がある。

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