萪内遺跡(読み)しだないいせき

日本歴史地名大系 「萪内遺跡」の解説

萪内遺跡
しだないいせき

[現在地名]盛岡市繋 萪内川原

つなぎ温泉の西一キロに位置する縄文後期を中心とした遺跡。雫石しずくいし川によって形成された雫石盆地の南東縁で、同川右岸に発達した沖積世段丘上にあり、標高は一六六―一六八メートル。昭和五一年(一九七六)および同五三―五五年に御所ごしよダム建設に伴って行われた調査によって、竪穴住居跡五五棟・土壙九二七基・漁労遺構一基、階段状杭列・土止杭列・洗い場各一、足跡九八、旧河道一条などを検出。住居跡は縄文後期二八棟・晩期一六棟・時期不明八棟・平安時代三棟。縄文時代の竪穴住居跡の平面形は円形、規模は径四メートル前後で、周溝はない。住居跡の中央付近に石囲炉・石組炉・埋設土器炉が設けられており、柱穴は壁際に沿って配置されるものと、竪穴の外周に配されるものがある。床面は自然堤防上のものに貼床されているものもあり、段丘上のものに張出部をもつ柄鏡状と、不整方形で周辺部に列石をもつものもあった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「萪内遺跡」の意味・わかりやすい解説

萪内遺跡
しだないいせき

岩手県盛岡市にある縄文時代後・晩期を中心にした遺跡。多数の住居址,墓壙があり,生産活動,信仰に関する遺構を含め,集落全貌が調査されている。低湿地部分もあり,当時の川の側流部分であったところから,「えり」が検出された。これは魚を誘導して捕える定置漁具で,内陸漁業の実態を示す遺構である。遺物も豊富であるが,大型の土偶木偶をはじめとする祭祀,信仰に関する遺物が特に注目される。

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