萱野茂(読み)かやのしげる

百科事典マイペディア 「萱野茂」の意味・わかりやすい解説

萱野茂【かやのしげる】

アイヌ文化運動家。北海道生れ。アイヌ文化の伝承・保存に努め,1972年にシシリムカ二風谷アイヌ資料館(のち二風谷アイヌ資料館)を設立し,館長(2006年退任)。1983年アイヌ語塾塾長。収集したアイヌの生活用具は国の重要有形民俗文化財に指定された。平取町町議会議員(当選5回)を経て,1994年参議院議員アイヌ民族初の国会議員としてアイヌ新法アイヌ文化振興法制定に尽力した。国の二風谷ダム建設に反対して訴訟を起こし,1997年に〈アイヌ民族は先住民族に該当する〉との判決を勝ち取った。1998年政界引退。著書に《ウエペケレ集大成》(菊池寛賞受賞),《アイヌの碑》《萱野茂のアイヌ語辞典》《萱野茂 アイヌの里二風谷に生きて》,編著《萱野茂のアイヌ神話集成》全10巻などがある。
→関連項目姫田忠義

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「萱野茂」の解説

萱野茂 かやの-しげる

1926-2006 昭和後期-平成時代のアイヌ民族運動家。
大正15年6月15日生まれ。アイヌ民具を収集し,昭和47年二風谷(にぶだに)アイヌ文化資料館を設立し,館長。50年古老からの聞き取りによるアイヌ民話集「ウェペケレ集大成」で菊池寛賞。私塾アイヌ語塾をひらき,小・中学生を指導。平成元年吉川英治文化賞。6年アイヌ初の参議院議員(社会党,のち民主党)となり,アイヌ新法の制定につくす。10年「萱野茂のアイヌ神話集成」で毎日出版文化賞。平成18年5月6日死去。79歳。北海道出身。

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