葛西船（読み）かさいぶね

精選版 日本国語大辞典

かさい‐ぶね【葛西船】

〘名〙 江戸時代、武蔵国葛西の農民が、こやしにするために江戸の糞尿を運んだ船。農耕用および小荷駄船として使用された小船。江戸地方の茶船の一種。葛西の糞船。

※談義本・根無草（1763‐69）後「上べ計(ばかり)の見せかけにて、葛西(カサイ)舟の船頭、雪隠の神の末社も同前」

出典　精選版 日本国語大辞典

世界大百科事典（旧版）内の葛西船の言及

【糞】より

…近世には三都の糞尿を集め近くの農村に運ぶ糞船（くそぶね），肥船（こえぶね）が存在した。江戸では葛西船（かさいぶね）と称する茶船がその代表であった。このように，糞便は古くから農耕用肥料とされてきたが，神聖な神田には下肥を使用せず，また神役も穢れたものとして糞尿に触れるのをさける習慣がある。…

※「葛西船」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」