蒙恬(読み)もうてん

精選版 日本国語大辞典 「蒙恬」の意味・読み・例文・類語

もう‐てん【蒙恬】

中国、秦代の将軍始皇帝に仕えた。オルドス匈奴を平定し、万里長城建築にも関わり、北辺防備につくした。始皇帝の死後李斯趙高らの謀略にあい、自殺。前二一〇年没。

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デジタル大辞泉 「蒙恬」の意味・読み・例文・類語

もう‐てん【蒙恬】

[?~前210]中国、の将軍。前215年、30万の兵を率いてオルドス匈奴きょうどを討ち、万里の長城建築にも協力して北辺防備に尽くしたが、始皇帝没後、李斯趙高らの謀略にあい、自殺した。

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改訂新版 世界大百科事典 「蒙恬」の意味・わかりやすい解説

蒙恬 (もうてん)
Méng Tián
生没年:?-前210

中国,秦の将軍。斉を攻略した功によって内史となり,前215年(始皇帝32)には30万の大軍をひきいてオルドスを遠征し,臨洮(りんとう)から遼東にいたる万里の長城を修築して上郡(陝西省綏徳県)に駐屯し,その武威は匈奴に振るった。しかし,始皇帝の崩じた後,丞相李斯りし)と宦官(かんがん)の趙高に謀られて,死を賜り毒を仰いだ。毛筆の創始者といわれるが,毛筆は以前からあり,彼の作ったのは秦筆で,材料や製法に改良を加えたのであろう。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蒙恬」の意味・わかりやすい解説

蒙恬
もうてん
Meng Tian; Mêng T`ien

[生]?
[没]始皇帝37(前210)
中国,秦の始皇帝に仕えた名将祖父の蒙ごう (もうごう) は斉の出身で秦に入り,昭王の武将となった。父の武も秦の将軍であり,弟の毅は厳正な官吏であった。始皇帝 26 (前 221) 年から将軍として北方匈奴の侵入を防ぐため出陣し,その討伐万里の長城の構築に十余年努力した。始皇帝の死後,李斯や趙高らの謀略のため太子扶蘇とともに死を命じられた。彼は趙高の命令を疑って従わなかったが,秦二世皇帝の命により毒を飲んで自殺。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蒙恬」の意味・わかりやすい解説

蒙恬
もうてん
(?―前210)

中国、秦(しん)の将軍。先祖は斉(せい)の人。祖父蒙驁(もうごう)、父武がそれぞれ戦国秦の昭王(在位前306~前251)、始皇帝(在位前247~前210)に将軍として仕え、功績があった。恬も弟の毅(き)とともに始皇帝に仕え、将軍として活躍した。秦が天下を統一する(前221)と、30万の兵を率いて対匈奴(きょうど)戦を開始し、臨洮(りんとう)から遼東(りょうとう)に至る万里の長城を築く。しかし始皇帝の死後、末子胡亥(こがい)を2世皇帝として擁立した宦官(かんがん)の趙高(ちょうこう)の謀略にあい、始皇帝の長子扶蘇(ふそ)とともに死を賜って、恬は服毒自殺した。

[鶴間和幸]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「蒙恬」の解説

蒙恬(もうてん)
Meng Tian

?~前210

の将軍。前215年には30万の兵を率いてオルドス匈奴(きょうど)を討ち,万里の長城修築に参加,秦の北辺防備に尽くした。始皇帝の死後,李斯(りし)と趙高(ちょうこう)により毒殺された。

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世界大百科事典(旧版)内の蒙恬の言及

【始皇帝】より

…嶧山(えきざん),泰山,瑯琊台(ろうやだい),之罘(しふ),碣石(けつせき)では始皇の功績を石に刻ませている。 前215‐前214年,〈秦を滅ぼすのは胡である〉という讖緯(しんい)を誤解して北辺に蒙恬(もうてん)を派遣し,オルドスに占住していた匈奴を漠北に追い払うとともに,燕,趙,秦の旧城をつないで遼海から臨洮(りんとう)に至る約1500kmに及ぶいわゆる万里の長城を築き,北方民族の侵入に備えた。前214年には陸梁の地を滅ぼして南越三郡(南海,桂林,象)を設置し,コーチシナにまで領土を拡張した。…

【筆】より

…《説文》の〈筆〉の字を見ると,秦ではこれを筆というと解説され,筆の字は元来竹冠がなく,秦以後〈筆〉の字が一般化したと考えられる。《博物志》や《古今注》によると,秦の蒙恬(もうてん)が初めて筆を作ったという。しかし筆またはそれに類したものは,それ以前からすでに存在したので,彼はむしろ筆の改良に貢献した人物とみるべきであろう。…

※「蒙恬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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