蕪湖(読み)ぶこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕪湖」の意味・わかりやすい解説

蕪湖
ぶこ / ウーフー

中国、安徽(あんき)省南東部の地級市。青弋江(せいよくこう)と揚子江(ようすこう)の合流点に位置する。4市轄区、蕪湖、繁昌(はんしょう)、南陵(なんりょう)など4県を管轄する(2016年時点)。人口230万7630(2010)。春秋戦国時代には呉の鳩茲邑(きゅうじゆう)とよばれ、漢代は蕪湖県で丹陽(たんよう)郡に属したが、のち廃止され、唐代に蕪湖鎮として復活し県に昇格した。明(みん)・清(しん)代より青弋江流域と巣湖(そうこ)地区の物資集散地として商業が盛んとなり、中国四大米市の筆頭として知られた。1876年芝罘(チーフ)条約により開港され、揚子江中流地域の物資を上海(シャンハイ)を経由して輸出した。1949年に蕪湖県から分離して市が設けられた。

 揚子江水運上の重要な河港であり、さらに寧蕪線(南京(ナンキン)―蕪湖)、寧銅線(南京―銅陵(どうりょう))、淮南(わいなん)線(淮南―蕪湖)、皖贛(かんかん)線(蕪湖―鷹潭(ようたん))、宣杭線(宣城(せんじょう)―杭州(こうしゅう))、寧安高速鉄道(南京―安慶(あんけい))、京福高速鉄道(北京(ペキン)―福州(ふくしゅう))が市内を通り、省南部の水陸交通上の中心の一つである。付近石炭マンガン鉄鉱石を産し、自動車部品、紡績、電子部品などの工業が発達している。ほかに三刀(包丁、鋏(はさみ)、かみそり)、三画(鉄画、堆漆(たいしつ)画、通草(つうそう)画)などの伝統工芸品が有名である。

[林 和生・編集部 2017年7月19日]

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改訂新版 世界大百科事典 「蕪湖」の意味・わかりやすい解説

蕪湖 (ぶこ)
Wú hú

中国,安徽省東部,長江(揚子江)右岸の青弋江(せいよくこう)が合する地点にある省直轄市。人口70万(2000)。市域に蕪湖県(湾沚鎮に治す)など3県を含む。市となったのは1949年。春秋時代の呉の鳩茲邑以来の古い歴史をもつ都市。漢代には蕪湖県が置かれ丹陽郡に属した。三国時代より南北朝時代にかけて,長江中下流域の開発がすすむとともに,長江下流域と中流域をつなぐ水運の要衝となり,江岸の港湾を核として発達した。明・清には税関も置かれ,安徽南部の流通の中心として商業が栄えた。1876年(光緒2)には芝罘(チーフー)条約によって開港され,1905年には共同租界も設けられた。現在も長江水運に加えて南京に鉄道が通じ,また対岸の裕渓口から安徽中部の淮南(わいなん),蚌埠(ぼうふ)へ鉄道が通じ,交通の中心となるとともに工業都市としても発達している。刃物,工芸美術なども有名。市の中心には赭山,神山,鏡湖などの名勝,唐代の創建になる広済寺などがある。
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百科事典マイペディア 「蕪湖」の意味・わかりやすい解説

蕪湖【ぶこ】

中国,安徽省東部,長江右岸の河港都市。寧銅(南京〜銅陵),淮南(蚌埠〜裕渓口),皖【かん】(蕪湖〜貴渓)3鉄路の連絡点。水陸交通の要地で,付近の物産,特に米を集散する。1876年英国との芝罘(チーフー)条約により開港。米,茶,木材,紙を移出する。付近には石炭,鉄を産する。144万人(2014)。

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