蕭紅(読み)ショウコウ

デジタル大辞泉 「蕭紅」の意味・読み・例文・類語

しょう‐こう〔セウ‐〕【蕭紅】

[1911~1942]中国作家本名張廼瑩ちょうだいえい黒竜江省の生まれ。蕭軍の妻で、のちに離婚魯迅ろじんに認められ、その援助によって「生死場」を刊行した。他の作品に「呼蘭河伝」など。シアオ=ホン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕭紅」の意味・わかりやすい解説

蕭紅
しょうこう / シヤオホン
(1911―1942)

中国の作家。本名張廼瑩(ちょうだいえい)。筆名はほかに田娣(でんてい)、悄吟(しょうぎん)。黒竜江(こくりゅうこう/ヘイロンチヤン)省呼蘭(こらん/フーラン)県の地主の家に生まれ、両親の愛情に恵まれぬ孤独な少女期を送る。中学時代、ハルビンで新しい文学や思想に触れ、封建的結婚に反発して家出。放浪ののち蕭軍と結婚し、文学活動に入る。1933年、蕭軍との共著になる短編集『跋渉(ばっしょう)』が発禁となり、翌年青島(チンタオ)を経て上海(シャンハイ)に脱出。魯迅(ろじん/ルーシュン)に認められ、彼の尽力で出版された『生死場』(1935)は生死ぎりぎりの場に生きる東北農民の群像を描いた異色の抗日文学として反響をよぶ。日中戦争勃発(ぼっぱつ)後、各地を流浪するなかで蕭軍と離婚。端木蕻良(たんぼくこうりょう)と再婚し香港(ホンコン)へ行くが、2年後に病没する。『商市街』(1935)、『橋』『手』(ともに1936)、『呼蘭河伝』(1940)、『馬伯楽』(1941、未完)などの作品がある。

[平石淑子]

『岡崎俊夫訳「手」(『現代中国文学全集14』所収・1955・河出書房)』『立間祥介訳「呼蘭河の物語」(『中国の革命と文学5』所収・1972・平凡社)』『駱賓基著、市川宏訳「蕭紅小伝」(『現代中国文学12』所収・1971・河出書房新社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蕭紅」の意味・わかりやすい解説

蕭紅
しょうこう
Xiao-hong

[生]宣統3(1911)
[没]1942
中国の女流小説家。黒竜江省呼蘭県の人。本名,張廼瑩 (ちょうだいえい) 。筆名はほかに悄吟。地主の家に生れたが家出して放浪生活を続け,蕭軍と結婚。ともに上海に出て創作を始め,処女作『生死場』 (1935) が魯迅に認められた。抗日戦争中に蕭軍と別れ,民族革命大学で教えたり,西安,重慶などを転々とし,その間に同郷の作家端木こう良 (たんぼくこうりょう) と結婚したが,病苦に悩まされ 1940年ホンコンに渡り,翌々年没した。ほかに『牛車上』 (36) ,『手』 (36) ,『呼蘭河伝』 (39) など,郷土の東北を舞台とした作品がある。

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