蕭軍(読み)ショウグン

デジタル大辞泉 「蕭軍」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ぐん〔セウ‐〕【蕭軍】

[1907~1988]中国の小説家。遼寧省義県の人。本名劉鴻霖りゅうこうりん。蕭軍は筆名満州事変後、ハルビンで文学活動に入り、魯迅ろじんに認められて「八月の村」を出版。日中戦争中は延安で活躍したが、共産党から批判を受けた。ほかに「五月の鉱山」「過去の年代」など。シアオ=チュン

シアオ‐チュン【蕭軍】

しょうぐん(蕭軍)

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精選版 日本国語大辞典 「蕭軍」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ぐん セウ‥【蕭軍】

中国の作家。本名劉鴻霖。劉軍、田軍ともいう。遼寧義県の人。魯迅門下の一人で、東北農民生活に密着した作品を書いた。作品に「八月の郷村」「第三代」など。(一九〇七‐八八

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「蕭軍」の意味・わかりやすい解説

蕭軍
しょうぐん / シヤオチュン
(1907―1988)

中国の作家。本名劉鴻霖(りゅうこうりん)。蕭軍は筆名、また三郎、田軍などとも。遼寧(りょうねい/リヤオニン)省出身。満州事変後作家生活に入り、東北の農民の抗日武装闘争を描いた中編『八月の村』の原稿をもって1934年上海(シャンハイ)に移り、魯迅(ろじん/ルーシュン)に認められ、翌年魯迅の援助を得て出版、注目を集めた。日中戦争時代延安に入り、戦勝後ハルビンで『文化報』を編集したが、反ソ・反人民的文章を掲載したとされ、48年中国共産党の批判を受けた。以後50年代に一度復活、長編『五月の鉱山』(1954)、『過去の年代』(1957)などを発表したが、前者はふたたび党の指導を誹謗(ひぼう)した反動小説と批判されるなど、反党分子として冷遇されてきたが、79年名誉回復した。畢生(ひっせい)の大作『過去の年代』は、北方風土に根ざした野性味あふれる民衆像を得意とするこの作家の真価を発揮した代表作である。

[下出鉄男]

『高畠穣訳『八月の村』(『全集・現代世界文学の発見8 アジアの目覚め』所収・1970・学芸書林)』『武田泰淳著『黄河海に入りて流る』(1970・勁草書房)』『竹内実著『中国・同時代の知識人』(1967・合同出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「蕭軍」の意味・わかりやすい解説

蕭軍 (しょうぐん)
Xiāo Jūn
生没年:1907-88

中国,現代の作家。遼寧省義県に生まれる。本名は劉三浪。家は貧しく,12歳以降は軍隊生活を送る。1934年,東北抗日聯軍の闘争を描いた長編《八月の郷村》が魯迅に認められて作家的地位を獲得。その後,《第三代》(1937),《五月の鉱山》(1954)などの長編を書いたが,革命の秩序からもはみ出す野生的人間像を追求して,特色をみせた。露骨な批判的言動がたたって,40年代半ば以降,公然たる文筆活動を妨げられてきたが,〈四人組〉追放後に自由を回復した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「蕭軍」の意味・わかりやすい解説

蕭軍
しょうぐん
Xiao-jun

[生]光緒33(1907)
[没]1988.6.22. 北京
中国の小説家。遼寧省錦州の人。本名,劉三浪。筆名はほかに田軍。妻の蕭紅とともにハルビンから上海に出て魯迅に師事,満州事変後の東北における農民パルチザンを描いた長編『八月の村』 (1934) で認められた。次いで『同行者』 (36) ,『江上』 (36) ,代表作『第三代』 (36) などを発表。抗日戦争中は延安解放区で活躍,東北解放後ハルビンに戻って文化活動を続けたが,反ソ的言論のため批判され,思想改造を経て,『五月の鉱山』 (54) ,上記『第三代』を書き継ぎ改題した『過去の年代』 (57) を発表した。文化大革命中再び批判されたが,四人組失脚以後復活し,北京にあって活躍した。雄大な構想,きめ細かな筆致の作風である。

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百科事典マイペディア 「蕭軍」の意味・わかりやすい解説

蕭軍【しょうぐん】

中国の作家。本名は劉三浪。他の筆名田軍など。東北出身で,妻の蕭紅〔1911-1942〕とともに1930年代の上海文壇に登場。《八月の郷村》で東北パルチザンの抗日・抵抗戦を東北の風土色濃く描いて反響を呼んだ。抗日戦争中は延安,戦後は東北で活動し,《過去の年代》《五月の鉱山》など長編を発表したが,個人主義的色彩が強いとの批判を受けた。1979年名誉回復。

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